【連載】ワールドカップ初心者向けマニュアル 第3回 大会展望(グループE〜H編)

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前回の記事に続き、今回は後半グループE〜Hの展望をまとめさせて頂く。

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■2018 FIFAワールドカップ グループリーグ組み合わせ

【グループE】ブラジル、スイス、コスタリカ、セルビア

【グループF】ドイツ、メキシコ、スウェーデン、韓国

【グループG】ベルギー、パナマ、チュニジア、イングランド

【グループH】ポーランド、セネガル、コロンビア、日本
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【グループE展望】優勝候補のブラジルを筆頭に穴がない死の組

南米地区予選を圧倒的な力で勝ち上がった今大会優勝候補のブラジルを筆頭に、旧ユーゴスラビアの意思を継ぐセルビア、前回大会ではベスト8のコスタリカ、ベスト16のスイスと1試合でも落とすと敗退の危機になりかねない「死の組」となった。

前回大会は、開催国としてブラジル全国民の期待を背負ったカナリア軍団。準決勝で同大会を制する事になるドイツと激突したが、ブラジルサッカー史上そしてワールドカップ史上に残る1-7という衝撃的な敗戦。
1950年に同国でワールドカップが初開催された際の「マラカナンの悲劇」を遥かに上回る、「ミネイロンの惨劇」が起こり国民は大激怒。悲劇をさらなる悲劇で塗り替える屈辱を味わった。

その忌まわしき記憶を振り払うべく、16年ぶりの世界王座奪還を至上命題としている。
前回大会後に監督のバトンを受けたのは日本でもおなじみドゥンガであったが、結果が伴わず2016年に現監督のチッチに交代する。チッチは、ワールドクラスのアタッカーであるネイマール(FCバルセロナ)を筆頭とした世界屈指のタレント陣をまとめあげ、彼に依存しない組織づくりを丁寧に行った。
チッチ交代後は、南米地区予選を10勝2分の怒涛の強さで勝ち上がり1番乗りでロシア行きの切符を手にした。今年2月に異例となる、本大会登録メンバー23人中15人を先行発表。全ポジションにスーパースターがいるこのチームが優勝候補であることは疑いようもない事実である。

残る3チームのセルビア、コスタリカ、スイスは全てが良くも悪くも対抗馬であるといえる。
セルビアはミリンコビッチ=サビッチ(ラツィオ)やミトロビッチ(ニューカッスル)などの攻撃的布陣が予想されるが、ヨーロッパ地区予選突破後にムスリン前監督を解任。その後は、日本でもおなじみストイコビッチ氏の監督招聘に失敗し、結果的にアシスタントコーチであったクルスタイッチ氏が監督に昇格。ポテンシャルは高いチームの組織力がどこまで高められるかがポイントである。

ヨーロッパ地区予選で10勝1分1敗と結果は出ているスイスであるが、いかんせん得点力という点ではこのグループでは少し見劣りする部分は否めない。中盤の底にいるジャカ(アーセナル)とサイドから切り込むシャキリ(ストーク)の力は一級品だが、センターフォワードにこれといったアタッカー不在なのは気になる所。ただ、4年前のベスト16を経験したメンバーが多く残る点は強みであると考える。

ブラジルの対抗馬はコスタリカではないかと考える。絵に描いたような「堅守速攻」は健在で、ブライアン・ルイス(スポルディング)とボラーニョス(サブリサ)の両ウイングは前回大会を経てこのチームの心臓となりえる存在となった。
絶対的守護神にはレアル・マドリードでレギュラーを張るナバス(レアル・マドリード)が君臨し、こちらもスイスと同じく、前回大会でのベスト8メンバーが多く残る点は強みかもしれない。

【順位予想】
 1位 ブラジル 2位 コスタリカ 3位 スイス 4位 セルビア

【グループ注目選手】
(ブラジル)
 ネイマール(FCバルセロナ)
 ガブリエル・ジェズス(マンチェスター・シティ)
 フィリッペ・コウチーニョ(リヴァプール)
 パウリーニョ(FCバルセロナ)
 レナト・アウグスト(北京国安)
 カゼミーロ(レアル・マドリード)
 マルセロ(レアル・マドリード)
 マルキーニョス(パリ・サンジェルマン)
 ミランダ(インテル・ミラノ)

(セルビア)
 セルゲイ・ミリンコビッチ=サビッチ(ラツィオ)
 
(スイス)
 グラニト・ジャカ(アーセナル)
 ジェルダン・シャキリ(ストーク)

(コスタリカ)
 ブライアン・ルイス(スポルディング)
 クリスティアン・ボラーニョス(サプリサ)

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【グループF展望】究極の世界王者ドイツを中心に回る異大陸バトル

前回王者ドイツの圧倒的なパワーはもはや説明不要だが、ヨーロッパ地区予選でイタリアを下して勝ち上がった北欧の古豪スウェーデン、北中米カリブ海地区を1位で勝ち上がったラテンの強豪国メキシコ、アジアの雄韓国と全く異なる地域が集まるグループとなった。こちらも、各種メディアが言っているように「死の組」であることは間違いない。

さて、優勝候補の筆頭であるドイツであるが前回王者にして、FIFAランキング1位の実力は次元が違う域にある。
ヨーロッパ地区予選は10戦無敗の43得点4失点、2016年のEURO(欧州選手権)では準決勝でフランスに敗れるも、2017年のワールドカッププレ大会であるFIFAコンフェデレーションズカップは2軍で無敗優勝など選手層の厚さまで見せつける状況である。

アタッカー陣はキャリアの円熟にあるミュラー(バイエルン・ミュンヘン)を筆頭に、若手の急先鋒であるヴェルナー(RBライプツィヒ)、中盤はエジル(アーセナル)、ドラクスラー(パリ・サンジェルマン)、ケディラ(ユベントス)、クロース(レアル・マドリード)などスキがない。
守備陣は、若手ながらもとてつもない能力を持つキミッヒ(バイエルン・ミュンヘン)、フンメルス(バイエルン・ミュンヘン)、ボアテング(バイエルン・ミュンヘン)とクラブレベルで連携が取れている世界屈指の人材が揃っている。

絶対的守護神のノイアー(バイエルン・ミュンヘン)が昨年9月の怪我以来、復帰できていないことが懸念材料であるが、控えにもワールドクラスの選手が揃っており、就任12年目を迎えるレーヴ監督のもと個と組織がベストマッチしている究極の代表チームではないだろうか。
またドイツ代表は1954年のスイス大会から現在までベスト8以下の成績にはなっていない点から、サッカー先進国の国力を感じることができる。

メキシコにおいても長らく悩まされていたベスト8の壁を打ち破れる逸材が揃っている。
同国の代表最多得点記録を塗り替え続けている“チチャリート”こと大エースのハビエル・エルナンデス(ウェストハム)を筆頭に、ロサーノ(PSV)、コロナ(ポルト)が両ウイングを努め、中盤のグアルダード(ベティス)、エレーラ(ポルト)、守備陣のリーダーであるモレーノ(ローマ)と適材適所にワールドカップを経験している素晴らしい人材が揃っている。チチャリートの爆発と主力のコンディション次第では上位進出の可能性が十分に考えられる。

スウェーデンは2016年の欧州選手権(EURO)で同国の伝説的存在であったイブラヒモビッチ(ロサンゼルス・ギャラクシー)が代表を引退しながらも、長年の伝統であった組織力による負けないサッカーを体現し、フランス、オランダ、イタリアと列強国と激突したヨーロッパ地区予選を突破した。
イブラヒモビッチ代表引退後の10番を背負うフォシュベリ(RBライプツィヒ)を中心に、カウンターでここぞという場面に攻めこむスタイルを貫く。イブラヒモビッチのワールドカップ本大会復帰がここ数ヶ月囁かれたが、先月4月に同国協会が不参加を正式に発表。いちファンとしては残念だが、同国は雑音を振り払うことができたであろう。

さて、韓国であるが日本と同じくかなり苦労してワールドカップ出場権を勝ち取った。
2017年の7月に前監督のシュティーリケ氏を解任し、リオデジャネイロ五輪でU-23代表監督も務めたシン・テヨン氏を新監督としチームを再出発させた。プレミアリーグでアジア人最多得点記録を誇るソン・フンミン(トッテナム・ホットスパー)がおり、司令塔のキ・ソンヨン(スウォンジー)やク・ジャチョル(アウクスブルク)など、同国の歴史上でもトップクラスの逸材がいながらも、このグループでは残念ながら実力差でかなり厳しいものがある状況である。

【順位予想】
 1位 ドイツ 2位 メキシコ 3位 スウェーデン 4位 韓国

【グループ注目選手】
(ドイツ)
 トーマス・ミュラー(バイエルン・ミュンヘン)
 ティモ・ヴェルナー(RBライプツィヒ)
 メスト・エジル(アーセナル)
 サミ・ケディラ(ユベントス)
 トニ・クロース(レアル・マドリード)
 ユリアン・ドラクスラー(パリ・サンジェルマン)
 ヨシュア・キミッヒ(バイエルン・ミュンヘン)
 マッツ・フンメルス(バイエルン・ミュンヘン)
 ジェローム・ボアテング(バイエルン・ミュンヘン) 

(メキシコ)
 ハビエル・エルナンデス(ウェストハム)
 イルビング・ロサーノ(PSV)
 
(スウェーデン)
 エミル・フォシュベリ(RBライプツィヒ)

(韓国)
 ソン・フンミン(トッテナム・ホットスパー)
 キ・ソンヨン(スウォンジー)

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【グループG展望】個のタレント力が爆発するのはどこか?

グループBのスペイン、ポルトガルに状況が似ており、よほどのミスをしない限りは
ベルギーとイングランドの決勝トーナメント進出が有力であると考える。

ますは、ベルギーだが前回大会に12年ぶりに出場でベスト8へ進出し、2015年11月にはFIFAランキング1位(ワールドカップ非優勝国では2カ国目)に輝き、選手もヨーロッパのビッグクラブに所属する選手が多くいるなど、驚くべきスピードで成長を遂げている国である。
レギュラーメンバーにおけるアタッカー陣は、ロメル・ルカク(マンチェスター・ユナイテッド)、アザール(チェルシー)、デ・ブルイネ(マンチェスター・シティ)。守備においても、コンパニ(マンチェスター・シティ)、アルデルヴァイレルト(トッテナム・ホットスパー)、守護神のクルトワ(チェルシー)とイングランドプレミアリーグのビッグクラブで主軸となっているメンバーが揃っている。
ヨーロッパ地区予選は10戦9勝1分の43得点6失点と、タレント力に違わぬ圧倒的なパワーで勝ち上がってきた。
2016年の欧州選手権(EURO)では伏兵ウェールズに足元をすくわれベスト8止まりだったが、この黄金世代が円熟を迎える今大会はそれ以上の結果が至上命題なのは言うまでもない。彼らの個の力がしっかりと絡むことをいちファンとして願う。

サッカーの母国と言われながらも、最後にワールドカップを戴冠したのは1966年と半世紀ちかく遡るイングランド。そろそろ国民の気持ちも限界かと思うが、現在は世代交代でまいた種がようやく実力をつけてきたような段階かもしれない。攻撃陣は24歳ながら絶対的エースにまで上り詰めたケイン(トッテナム・ホットスパー)を要し、岡崎慎司の相棒として日本でも有名なバーディー(レスター・シティ)、若手では23歳のスターリング(マンチェスター・シティ)、22歳のアリ(トッテナム・ホットスパー)、20歳のラッシュフォード(マンチェスター・ユナイテッド)と未来のスターが覚醒しつつある。中盤にはダイアー(トッテナム・ホットスパー)、最終ラインにベテランのガリー・ケイヒル(チェルシー)はじめプレミアリーグの選手を揃えるが、本大会でグループリーグ突破はありえるが決勝トーナメントでの勝ち上がりは攻撃陣のコンディション次第といったところであろうか。

アフリカ地区予選を無敗で勝ち上がり、12年ぶりの本大会出場を果たした“カルタゴの鷲”チュニジアと、コロンビア、エクアドルの監督としてワールドカップを闘った経験を持つ、中南米の名将・ゴメス監督に率いられ念願の初出場を果たしたパナマ。2カ国共にベルギー、イングランドのようなタレント選手はいないが、ダークホース的なこの2カ国が混ざる点は不気味であると感じている。最初によほどのミスが無ければと書いたが、2002年大会のセネガルは初出場でフランスを倒し、2010年大会のニュージーランドはイタリア相手に引き分けまで持ち込んだ。ワールドカップという異空間では、小国が列強を飲み込むジャイアントキリングを起こす可能性は十分にありえる。局面で敗退することが多かったベルギー、勝負弱さが目立つイングランドがこの2カ国と同居したという点に何か奇妙なものを感じている。

【順位予想】
 1位 ベルギー 2位 イングランド 3位 チュニジア 4位 パナマ

【グループ注目選手】
(ベルギー)
 ロメロ・ルカク(マンチェスター・ユナイテッド)
 エデン・アザール(チェルシー)
 ケビン・デ・ブルイネ(マンチェスター・シティ)
 ヴァンサン・コンパニ(マンチェスター・シティ)
 トビー・アルデルヴァイレルト(トッテナム・ホットスパー)
 ヤン・ヴェルトンゲン(トッテナム・ホットスパー)
 ティボー・クルトワ(チェルシー)

(イングランド)
 ハリー・ケイン(トッテナム・ホットスパー)
 ジェイミー・ヴァーディ(レスター・シティ)
 デル・アリ(トッテナム・ホットスパー)
 マーカス・ラッシュフォード(マンチェスター・ユナイテッド)
 ラヒーム・スターリング(マンチェスター・シティ)
 エリック・ダイアー(トッテナム・ホットスパー)
 ガリー・ケイヒル(チェルシー)

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【グループH展望】絶対的な軸がある3カ国へ挑む日本

いよいよラストのグループH、我らが日本代表が属するグループを見ていく。
このグループの特徴は日本を除いた3チームに共通して、世界レベルで戦える絶対的な軸が存在するという点である。日本が対戦する順番に見ていくとする。

まずはコロンビアであるが、日本としては奇しくも4年前のリターンマッチを行うことになった。
監督も前回ベスト8に導いたペケルマン氏がそのまま続投している。26歳とキャリアの全盛期であるハメス・ロドリゲス(バイエルン・ミュンヘン)をエースに据え、クアドラード(ユベントス)、サンチェス(フィオレンティーナ)は今大会も選出が予想され、そして前回大会出場を逃し雪辱に燃える世界的ストライカーのファルカオ(ASモナコ)を擁する。
守備陣はサバタ(ACミラン)、サンチェス(トッテナム・ホットスパー)とどのポジションにもワールドクラスの選手が存在している。前回大会に日本から4得点を奪った攻撃陣は健在とあるといえよう。

次にセネガルだが、代表選手の大半は旧宗主国のフランスを中心にヨーロッパのクラブチームに在籍。
アフリカ地区予選は無敗で突破している。軸となるエースはマネ(リヴァプール)である。ポジションは代表・クラブともに攻撃陣のトップでウイングを務めるが、今季は所属クラブで驚異的な記録を残している。
リヴァプールでは前回の連載でも書いたエジプト代表サラー、ブラジル代表フィルミーノにマネを加えた3人で驚異的な得点数を記録している。彼らはそれぞれの名前の頭文字から「M(マネ)S(サラー)F(フィルミーノ)」と呼ばれ、ヨーロッパ屈指の攻撃ユニットを結成し、ヨーロッパにおけるクラブ最高峰の大会であるUEFAチャンピオンズリーグの決勝の舞台まで駒を進めている。
代表ではおそらく、ポジションの関係で長友佑都(インテル・ミラノ)が彼の対応を務めることが予想される。世界屈指のバトルが日本の左サイドで繰り広げられるであろう。

最後にポーランドであるが、ここは前述した2カ国を上回る恐るべき選手がいる。
絶対的エースストライカーのレヴァンドフスキ(バイエルン・ミュンヘン)の存在である。

彼がどのくらい恐ろしいかを数字で説明すると、
世界最高峰のリーグの1つ、ブンデスリーガ(ドイツ1部リーグ)で2度の得点王に輝き、2015〜16、16〜17の2シーズン連続でリーグ32試合30得点を達成。
今季も29試合29得点(5月12日現在)と1試合1得点の割合で得点を重ねるなど留まるところを知らない。
ポーランド代表では2008年にデビュー以降、93試合52得点と同国代表の最多得点記録を保持し、
同国史上最強のストライカーとして君臨。まさに今がキャリアの全盛期を迎えている。

ボルシア・ドルトムント時代は香川真司(ボルシア・ドルトムント)ともチームメイトであり、当時はレヴァンドフスキ、香川真司、ゲッツェ(ボルシア・ドルトムント)の3人が強力な攻撃陣を形成していた。
日本のディフェンス陣が、現代最強のストライカーを止めることができるか見ものである。

【グループ注目選手】
(コロンビア)
 ハメス・ロドリゲス(バイエルン・ミュンヘン)
 ファン・クアドラード(ユベントス)
 ラダメル・ファルカオ(ASモナコ)
 
(セネガル)
 サディオ・マネ(リヴァプール)

(ポーランド)
 ロベルト・レヴァンドフスキ(バイエルン・ミュンヘン)

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次回の連載は、ここまでの展望を踏まえて我らが日本代表に関する現状考察をまとめる予定である。
グループHの順位予想のみ、日本代表を現状考察した上で次回改めて行わせて頂く。

【関連記事】
【連載】ワールドカップ初心者向けマニュアル 第1回 ワールドカップってそもそもどんな大会?
【連載】ワールドカップ初心者向けマニュアル 第2回 ここを見よう!大会展望(グループA〜D編)

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