『スポーツマネジメントとは?』を徹底解説

スポンサーリンク
スポーツビジネス
スポンサーリンク

スポーツ産業の成長が期待されているなかで、

・スポーツビジネス

・スポーツマーケティング

・スポーツマネジメント

という3つがよく語られています。しかし、言葉が独り歩きしてその内容や本質をあまりイメージできていない方も多いかもしれません。今回は、そのなかでも「スポーツマネジメント」について解説します。

「スポーツビジネス」を解説した記事

スポーツビジネスとは ~特徴や課題を徹底解説~ – スポビズ研究所

「スポーツマーケティング」を解説した記事

『スポーツマーケティングとは?』を徹底解説 – スポビズ研究所

スポンサーリンク

「スポーツマネジメント」って何をするの?

スポーツマネジメントといえば、球団やクラブの「経営」や「運営」をイメージする人も多いでしょう。これは正解ではあるのですが、厳密にいえば「スポーツマネジメント」にはフィールドにおけるマネジメントと、ビジネスにおけるマネジメントがあります。

スポーツマネジメントとは

スポーツマネジメント①:フィールドマネジメント

フィールドマネジメントは、文字通りスポーツチームの成績に責任を持ちます。プロスポーツでいえば、その順位や成績が向上するようにマネジメントに努めます。より具体的にいえば、優勝できるチームに必要な選手を補強したり、設備面での投資を行い育成を強化したり、といった編成や施策によってチーム力向上を図ります。

スポーツマネジメント②:ビジネスマネジメント

一方、ビジネスマネジメントは、自チームのアセットをフルに活用し、その収益化に責任を持ちます。前述のスポーツビジネスの記事にて詳しく解説していますが、スタジアムの入場料収入、放映権収入、グッズ・物販、そしてスポンサーシップなどを軸に、球団やクラブの収益が最大化するように努めます。

その他スポーツマネジメント

ここまでの内容は、主にプロ野球やJリーグに代表されるプロスポーツを想定した話ですが、たとえば個人競技の場合、選手がマネジメント会社に所属している場合もあります。選手のスケジュール管理やスポンサーの折衝などの業務も、スポーツマネジメントといえるでしょう。

理想の「スポーツマネジメント」とは?

スポーツマネジメントでは、主に2つの要素、つまり「フィールド」と「ビジネス」があります。この点を踏まえ、どのような「スポーツマネジメント」が理想でしょうか。

答えとしては、「フィールドマネジメント」と「ビジネスマネジメント」が好循環を生み出すスポーツマネジメントといえるでしょう。もう少し具体的にいえば、チームが優勝を狙えるほど強くなり、ファンが増え、その結果収入が増えること。そして、その利益をチームの施設に再投資して強化を図ったり、あるいはファンに充実したサービスで還元し、さらにファンを増やしたり、といった流れを作り出すことです。

正直、これは「鶏と卵」の議論にもなるでしょう。ただ、「どちらが先か」という議論はあまり重要ではなく、どちら起点でも好循環は生み出せると考えられています。

スポーツマネジメント・好循環の具体例

スポーツマネジメントの好循環の例として、やはりプロ野球・横浜DeNAベイスターズの例は外せません。ちなみに、ベイスターズのマーケティングについては別記事でも触れています。

横浜DeNA・「アクティブサラリーマン」やBリーグ・「スマホファースト」にみるスポーツマーケティング – スポビズ研究所

ベイスターズの場合、DeNAが親会社になってから経営基盤の強化に着手し、赤字が当たり前だった状態から立て直しました。DeNAに経営権が移って初のシーズンの2012年からの推移を確認してみると、このようになっています。

f:id:it_sports_biz:20201001210421p:plain

2015年には、純利益ベースで黒字化に成功していますが、2015年までの期間にビジネス・マーケティングをはじめ球団努力が実り、観客動員数も順調に伸ばしていました。元々は最下位や5位が当たり前で、ファンからの期待感も低かったのが、斬新なマーケティング施策により、特に「アクティブサラリーマン」と呼ばれる層や、地元・横浜の人々をファンとして取り込み、スタジアムは次第に満員に近づきました。

そうすると、今度は選手のモチベーションが上がっていきます。満員のスタジアムを見て、当時はベイスターズの主力選手であった筒香選手がこちらも当時の池田純社長に「今度は自分たち(選手)の番ですね」と言ったのは有名な話です。

まとめると、ファンを増やすビジネス面(マーケティング)施策によって経営基盤が固くなり、フィールド側にもプラスの影響を与え、それが更なるファンの増加やエンゲージメントの向上につながり、2016年以降の大幅な黒字と順位向上・CS進出につながったのでした。

まさに、スポーツマネジメントの両輪がうまくかみ合い、好循環を生んだ事例です。

参考書籍

一番読まれている定番テキスト、待望の新版。 アマチュアからプロまで、はじめての本格的な入門書! 斯界の第一人者が、豊富な実例とともにエッセンスを体系的な知識として提示。
【ベイスターズを5年で再生させた 史上最年少球団社長が明かすマネジメントの極意】 ///////////////////////////////////////////////////////////////////// ビジネスパーソン必読! 球団経営はすべてのビジネスに通じる。

また、Bリーグ・千葉ジェッツも、スポーツマネジメントを起点にチームを強化できた好例といえます。

経営不振からBリーグ集客ナンバー1のクラブになった千葉ジェッツの秘密 今、バスケットボールのBリーグが熱い。中でも、初めて年間観客動員数13万5000人を突破し、1試合7327人という最多動員数を誇るのが千葉ジェッツだ。5年半前、経営不振のクラブ立て直しのため社長に就任したのが、コンサルタントの立場でかかわっていた島田慎二。

最初はコンサルタントの立場から千葉ジェッツに関わり始めた島田氏が、経営の豊富な経験を「スポーツマネジメント」として活かし、経営から立て直した軌跡が描かれています。

徹底的な経営見直し→スポンサー営業を軸にした売上増→チーム強化→エンタメ・興行効果といった順番で着実に進めています。

この好循環により、今や人気も実力もトップクラスの千葉ジェッツ。まさに理想的な「スポーツマネジメント」の実行がなされています。

球団やクラブ単位でのスポーツマネジメントでは限界もある

本記事では「スポーツマネジメント」についてご紹介してきましたが、リーグや競技を発展させていくためには球団やクラブ単位でのスポーツマネジメントでは限界もあります。これを露呈したのが2020年の新型コロナウィルスです。たとえば、プロ野球では観客動員数がどの球団も激減し、収入が大幅に減少しました。一方、コストに関しては大半を占める選手の年俸について、新型コロナウィルスで試合数が減ったこと、観客動員に制限があったにも関わらず、簡単に年俸を減らすのは難しいのが現状の「野球協約」です。ソフトバンクホークスの球団社長は、これを「バグ」と表現しています。

新型コロナ: 「契約・年俸 見直す契機に」 ソフトバンク球団社長: 日本経済新聞

球団によっては、話し合いを重ねてコロナの状況に準じた契約を締結することも可能かもしれませんが、他球団含めて足並みを揃えないと不公平感が生じてしまいます。2020シーズン前の自粛期間でも「足並みを揃えるべき」という声もありましたが、判断は各球団に委ねられました。

つまり、各球団が最適な「スポーツマネジメント」を行おうとしても、ベクトルが異なるとリーグや競技全体としてばらばらになり、結果として「スポーツマネジメント」がうまく機能しなくなってしまいます。そこで重要なのが「リーグガバナンス」ですが、リーグガバナンスについても本ブログで触れているのでぜひご覧ください。

リーグガバナンス – スポビズ研究所

スポーツマネジメントをどう学び、実践するか

スポーツ業界を目指す人にとって、スポーツマネジメントへの理解は欠かせません。最近はスポーツ業界を目指す学生も増えているといわれていますが、たとえば大学スポーツはスポーツマネジメントを実践を通して学べる良い機会と考えることができます。

アメリカと比較して、日本ではあまり大学スポーツが根付いているとはいえません。多くの人にとって、たとえば「大学野球」よりも「高校野球」の方が身近に感じるでしょう。東京六大学など一部のメジャーなリーグや競技を除き、あまり人気が高くないスポーツやそのチームのファンを増やすために、あるいは資金面でやり繰りするために、どのようにしたらよいか、失敗もしながら学べる環境ではないでしょうか。

学生の方にとっては、大学のスポーツマネジメントの講義ももちろん有用ですが、それをどう実践するか、という点で体育会の部活動をうまく活用してみるのも面白いと思います。

スポーツ業界のことを学びたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

スポーツビジネス『おすすめ本』13選 ~2020年最新版~ – スポビズ研究所

スポーツマネジメントを学べる場をご紹介

少し前までは、スポーツ業界やスポーツマネジメントについては情報がオープンでなく、大学で学んだり、知り合いのツテで就職したり、といったことが一般的だったようです。

それがSNS等の普及もあり変化し、スポーツマネジメントに関する情報を発信している人も多く、非常に参考になります。

大学の授業以外で、スポーツマネジメントについて学べる場をご紹介します。

+C by PSI

スポーツマネジメントというより、マーケティング寄りではありますが、多くのプロスポーツチームを支援している「プラスクラス」が運営するスクール。学生から社会人の若手までを対象としています。

<+C by PSI>スポーツマーケティングを仕事にするためのファーストステップになるオンラインスクール | プラスクラス・スポーツ・インキュベーション株式会社

SBA | THE BASE

スポーツマネジメントやスポーツビジネスにおいて、非常にクオリティの高いセミナーを提供したきた「スポーツビジネスアカデミー」が運営するオンラインサロン。スポーツマネジメントにおける各分野のプロフェッショナルを招いた講義や、業界内のつながりを築ける場としておすすめ。

SBAオンラインサロン「THE BASE」 – スポーツビジネスアカデミー | THE BASE – DMM オンラインサロン

東京ヴェルディカレッジ

サッカークラブが母体となっているスポーツマネジメントスクール。現場にも携わりながら、理論と実践をバランス良く学べるスクールといえます。

「ブランド」としてのヴェルディを作り上げるプロセスにも携われるため、この上ない経験をできるでしょう。

東京ヴェルディカレッジ|Tokyo Verdy College

スポーツマネジメント・おすすめ動画

おまけとして、スポーツマネジメントを知るのにおすすめの動画をご覧ください。


スポーツとマネジメント~Jリーグを経営するという仕事~


人気過去動画ダイジェスト版【中村武彦×堀江貴文】メジャーリーグサッカー前編〜ホリエモンチャンネル〜

タイトルとURLをコピーしました