睡眠はおよそ人生の3分の1を占めます。
これを時間がもったいない、寝ることに時間を費やすなら他のことをしたい。そういう人も少なくありません。
ですが、それはお門違いです。
人間の身体は寝ることに人生の3分の1を使うようにできているのです。
今回は『スタンフォード式 最高の睡眠』を解説,紹介していきます.
スタフォード式最高の睡眠 要約
寝ないことが時間と効率を無駄にしている
睡眠時間がもったいない?
いいえ,寝ないことこそ、時間を無駄にしています。
寝不足は色々なことを招きます。
生産性の低下、効率の劣化などです。
寝不足状態で6時間かかる作業が、ぐっすり寝た状態では2,3時間で終わることなんて普通にあります。
すると、ここで数時間の余裕が生まれます。
こういうことが積み重なっていけば寝る方が効率がいいと気づきます。
睡眠は借金を生む【睡眠負債】
睡眠の借金は借りなくてもたまっていくのです。これを睡眠学の研究者たちは「睡眠負債」と呼びます。
睡眠負債は気づかぬうちにたまっていきます。
今日はいつもより1時間ほど睡眠時間が短かった。こうなると、1時間の借金です。さらに1時間に利子がつきます。
翌日にその1時間を取り戻そうと1時間長く寝ても、その借金の利子分は返せません。
つまり、睡眠負債とは”睡眠時間が足りないことによって、簡単には解決しない深刻なマイナスの要因が積み重なっていく”という意味です。
睡眠負債によって生じる危険性【身体のシステムをダウンさせる】
睡眠負債があると、日中の行動に大きなマイナス影響があります。起きていたとしても身体のすべての機能が正常に動いているとは限りません。
こんな実験があります.
夜勤の医師とそうでない医師に、画面に図形が出てきたらボタンを押すというものです。
この結果は驚くべきものでした。
夜勤の医師は図形が出てきても3,4秒ほど反応できず、数秒のラグを生じてボタンを押すことがありました。
これらの理由は眠っていたためです。脳波を確認すると波形の状態から眠っていると確認できました。
睡眠負債がたまると、こういったことが起こります。これを「マイクロスリープ(瞬間的居眠り)」と呼びます。
日中にこういったことが頻繁に起こるため、何をしていても集中できなくなります。
そのため前述したように「寝不足状態で6時間かかることが、ぐっすり寝た状態では2,3時間で終わる」ということが起こりかねません。
また、睡眠不足に陥ると、ホルモンバランスが崩れます。
- インスリンの分泌が悪くなり血糖値が高くなり、糖尿病を招く。
- 食べすぎを抑制するレプチンというホルモンが出ず、太る。
- 食欲を増すグレリンというホルモンが出るため、太る。
- 交感神経の緊張状態が続いて高血圧になる。
- 精神が不安定になり、うつ病、不安障害、アルコール依存症、薬物依存の発症率が高くなる。
睡眠負債を返済するには
利子のついた睡眠負債を返済するには、どうすればいいのでしょうか。
はじめに言っておくと、一括で返済をすることはできません。
これは週末の寝だめごときで返済はできないことを意味します。
むし寝だめは借金を増やす可能性すらあります.
睡眠負債を返済するには、時間もひとつの要因ですが、何よりも「質」が重要だと本書では述べられています。
時間で返済しようとすると、40分の睡眠負債を返済するには毎日14時間ベッドにいることを3週間続けなければならなりません。
これは実験結果より裏付けられています。
詳しくは本書の方をご参考ください.
睡眠のという基礎があってこそ食事やエクササイズの効果が上がる
睡眠はすべての基盤であると言っても過言ではありません。よい睡眠を得ることでよい覚醒が得られる、その逆も然りです。
「睡眠=休息」ではありません.
睡眠は身体のメンテナンス時間です。
体内の細胞が労働する環境はあなた自身の睡眠の時間と質で決まります。
細胞にとってブラックな職場にするか、否かはあなた自身が決定します。
睡眠の質は最初の90分で決まる
ノンレム睡眠(浅くない睡眠=深い眠り)はとりわけ最初の90分が最も深い。
この90分を質の高いものにすることで、その後の睡眠パフォーマンスは自然と上がり、自律神経やホルモンの働きもよくなる。結果的に翌日のパフォーマンスが向上します。
睡眠の質を高めるために意識すべきのは最初の90分です.
逆に言えば最初の睡眠が乱れると、その後の睡眠も乱れます。
最初の90分の質を高めるためには
就寝120分前までに入浴を済ませること、これが重要です。
シャワーだけでなくお湯に浸かることが望ましいともあります。
その理由は体温にあります。
眠気がやってくるのは深部体温が下がり、皮膚温度が上がってくるときです。
そのふたつの温度の差が2.0℃以下になったときに眠気がやってきます。
入浴すると、深部体温が上がります。
深部体温は上がると、下げるという性質があるため、入浴後には深部体温を下げようとします。
この際、末端部分から熱を放出するため手足がぽかぽかしてきますが,これはよい兆候です。
深部体温が下がっていくと皮膚温度との温度差が小さくなっていき、やがて眠気がやってくるという理論です。
こうして一度やってきた眠気には抗わない方がよい。一度抗うとなかなか寝付けなくなり、質も時間も低下します。
あとは暗い部屋でスマホを見るなど、脳に刺激を与えないことが重要になります。
まとめ【スタフォード式最高の睡眠 要約】
今回は実践的なことを紹介しました。まだまだ本書のことを解説しきれていません。
本書では研究結果やデータから裏付けられた根拠を提示し、「だったらこうすればいい」と非常に納得のいく説明をしています。
他にもここでは紹介できなかった睡眠の本質が書かれています。睡眠だけでなく、それによる弊害やメリットも紹介されています。
ここに紹介したことは「だったらこうすればいい」という部分だけを抜粋しました。
根拠など、詳しく知りたい方は購入をすすめます。