【Skyrunning World Championships 2021】楠田涼葉インタビュー【スカイランニング世界選手権】

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2021年7月9日~11日、スカイランニング世界選手権が行われた。

TEAM SKY KYOTOの楠田涼葉がスペイン、カタルーニャ州バルデボイに足を運んだ。
飛行機を乗り継ぎ移動時間は約20時間、時差ボケもある中での戦いだった。

「初めての海外レース、初めての世界選手権。 努力してきたことを信じ、全力で駆け登り、駆け下ろう。そして、全力で楽しもう。 この2点を特に心に留めて、レースに臨みました。」—-楠田コメント

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初日のバーティカルレース

VKは、3.3kmD+1000mというコース。前半2kmは傾斜5〜10%ほどで、土と芝が混じったサーフェス。ラスト1kmは壁。傾斜50%近い急勾配で500m一気に駆け登る。

日本では体験できないようなコースだろう。そんな馬鹿コースを小柄な女性が走るのだから、それはもう衝撃的だ。

楠田コメント

VKは、とにかくなるべく歩かず走って前についていこうと思っていました。しかし、実際はスタートすると、1kmもいかないうちに、集団から多くの選手から離されてしまいました。同じように駆け登っているつもりでも、海外選手はグイグイとペースを落とさず進んでいきます。結果は15位。これほどまでに世界は速いのか、と世界との差を痛感しました。ただ、ラスト1kmの急勾配でもリズムが崩れず、むしろ粘って順位を上げられたという、良かったイメージを持って、スカイに挑もうと心に決めました。

本腰を据えたスカイレース

楠田コメント

SKYは40km±2830m、大きな登りが3回あるコース。待ちに待った大舞台。スタート前はワクワクが止まりませんでした。 1回目の登りは、マイペースに登り17位ほどで通過。その後、激下りがありましたが、愛宕山のスキー場下りを思い出しながら下ると楽チンでした。ここで2つ順位を上げ15位でサポートエイドを通過。 次の2回目の登りは、7kmで1000mアップ。世界選手権前に伊吹山を走って登る練習をしていたので、そこまで苦に感じませんでした。歩く海外選手も多い中、ちょこちょこ走り続け、前との差を詰めていきました。その後の岩が混じったスリッピーな下りは、私が得意とするサーフェスだったので、ペースを上げて一気に二人抜き去りました。12位まで上がり、いよいよ核心部へ。 最後の3回目の登りは、3kmで800mアップ、しかもガレ場というかなりきつい所。ここはかなりきつかったですが、遮るものがなく、前の選手の背中が見えているので、少しでも離されないよう必死に登りました。登りきったあとは、落ちたら大怪我必須な切り立った岩場。日本では見たことがない圧巻の景色に興奮し、それまでの疲れも忘れて全力で駆け下りました。ここで一人抜き11位、目標のトップ10まであと少し。しかし、10位の選手の背中は見えません。ゴールに近づくにつれ、足もどんどん重たくなりましたが、それでも前の選手に追いつくことを考え、必死に走り続けました。 自分にとって全力を出せたレースでした。 それでも結果は11位。トップとは約55分差。これだけ納得のいく走りができても、トップ10に入れないのか。トップとの差はこれだけあるのか。悔しい!もっともっと強くなりたい!ゴールしたあとから、その思いがとても強くなっています。 今はまだ、世界のトップクラスとの差は大きく、自分に足りてない部分もたくさんあります。けれども、その分まだまだ成長できるはず。『苦手は伸び代』をモットーに、これからもチームメイトと競い合い、高め合いながら練習を積み重ねていきたいと思います。 沢山の応援ありがとうございました。

笑っている

彼女の努力を見てきた。すべてじゃない、ほんのわずかな一部分だけかもしれない。

悩んであがいて苦しんで抗って、得たものがなんだったのか、知る由もない。

けど、ふと、「あ、笑っている」と思った。

いつだろうか、レース前、レース中、彼女はどこか切羽詰まって見えていた。
口角は決して緩めず、眉をしかめ、背筋を強張らせる。

筆者は自分でも視野が広く、周りが見えていると思っている。そして、他人を観察したり、感情を読むことに長けていると自負している。
そんな筆者のレーダーはレース前の彼女にびんびんに反応していた。

しかし、最近の彼女はレース中でも笑うようになった気がする。

それがどういう方向へ向かっていくのかはまだわからない。

笑ったからといって幸せなことが増えることは限らない。けれど苦しいことは減るはずだ。

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