マラソンやトラック選手の多くは練習によってシューズを使い分けています。
これは練習の効果を最大限引き出すために行っています。
しかし、トレイルランナーはトップ選手でもシューズの使い分けをしていないことが多いです。
今回はトレランシューズの使い分けについて、プロ山岳ランナー近江竜之介選手の意見をもとに解説していきます。
トレランシューズを使い分けた方がいい理由
マラソンよりもシューズの使い分けが重要な理由
マラソンをはじめとして、陸上競技長距離ではシューズの使い分けが推奨されています。
リカバリージョグの時はクッショニングがあるシューズを履いたり、テンポ走の時はそれなりの速さが出せるシューズを履いたり、スピード練習の時は厚底シューズを履いたり・・・
シューズの履き分けは、今や当たり前のことなのです。
シューズの履き分けポイントは『ペース』と『距離』
マラソン、陸上長距離での、シューズを履き分ける指標となるのは、『ペース』と『距離』です。
その日の練習に合ったものを履きこなし、トレーニング効果を高める狙いで履き分けを行っているのが、多くだと思います。
では、トレランはどうでしょう?
トレランの方が、『ペース』と『距離』に幅がある
トレランは、マラソンや陸上長距離と比べて一度のトレーニングセッションでの『ペースの幅』とトレーニング毎で『距離の幅』が大きく異なります。
一度のトレーニングセッションでは、速ければペースが、『4’00/km~10’00/km』、トレーニング内容によっては『5km~100km』と、陸上長距離よりも圧倒的にシューズの履き分けとなる指標の幅が広いです。
なので、トレランこそシューズを上手に履き分ける必要があるのです。
【プロ山岳ランナー近江竜之介に聞いた】トレランシューズの使い分ける方法
では、実際にどうやってトレランシューズを履き分ければいいのか。
今回はプロ山岳ランナーである近江竜之介選手に聞いた話+筆者のトレランシューズの履き分けを交えて紹介していきます。
両者ともに『日本代表』の看板を背負っている(背負っていた)おり、そこに至るまでに感じたことも紹介していきます。
ロードシューズの使い分け
Adizero SL20.3M【レビュー】
近江竜之介選手が愛用しているロードシューズは、『Adizero SL20.3M』。
このシューズの特徴は、リカバリーのジョグからロングジョグ、テンポ走まで幅広いトレーニングに対応しているところ。
近江竜之介選手曰く、「このシューズ1つでロードのトレーニングは完結している」とのこと。
ガチのプロ山岳ランナーともなると、基本的に山ばかり走るので、ロードのシューズにはあまりこだわりがなさそうだ。
Adidas japan 6【レビュー】
トレイルランナーにおすすめするロードシューズ1つ目はAdidas japan 6だ。
このシューズのいい点は厚底で、クッショニングがあるにも関わらず、感覚的にはうす底である点だ。
トレイルランナーが厚底シューズで常日頃走っていると、登りの走力が落ちてしまう。
そのため、ベアフットシューズなどで走るのが効果的なのだが、怪我のリスクがある。
そこで、クッショニングにより怪我のリスクを低減しつつも、自分の足で走れるシューズがこれになる。
筆者はリカバリージョグから3’50/km程度のペースまではこのシューズでカバーしている。
Nike ペガサス シリーズ【レビュー】
ロードで登りの練習や砂利道、芝生を走るときはNikeのペガサスシリーズがおすすめだ。
このシューズのポイントは安定感にある。
筆者はトレランのための練習として砂利道、芝生、ロードの登り(峠走)でのジョグなどをするが、その時はすべてこのシューズで行っている。
どんな地面でも抜群の安定感を発揮してくれるので、不整地による足の疲労感が低減できるのが特徴だ。
トレランシューズの使い分け
Adidas TERREX SPEED PRO【バーティカルにおすすめのシューズ】
最初におすすめしておきたいのが、Adidas TERREX SPEED PROだ。
「このシューズは初心者から上級者までにおすすめできる」と、近江竜之介選手も言っていた。
筆者も本当にその通りだと思う。
近江竜之介選手曰く、「5km(ショートレース)~40kmまではこれでいける」と言っており、実際彼もそういう履き分けをしている。
このシューズの特徴は『滑らない』、『スピードが出やすい』、『超軽量』にある。
スピードを出すという点にフォーカスを置いているためか、クッショニングはいまいちだが、ミドルレースまでなら問題ない。
このシューズに関しては下記記事で詳しく解説している。
Adidas TERREX SPEED ULTRA【ロングレース用におすすめ】
近江竜之介選手がロングレース(40kmn以上)に出る時に使用するシューズがこれ、Adidas TERREX SPEED ULTRAだ。
このシューズの特徴は高いクッショニングを実現しながら、軽量、滑らない点だ。
踵部分にはAdidasおなじみのブースト素材が採用されており、ロードでもトレイルでも不快感なく走れる。
トレランシューズの課題として、ロードではソールのラグ(突起)が地面に突っかかって走りにくいというものがあったが、これはその課題を乗り越えてきたシューズだ。
ロードでも普通のロードシューズと遜色ない。
100km以下のトレランなら、全く問題ないし、どんな路面でも安定して走れるので、ストレスフリーに走れる。
Adidas TERREX AGRAVIC ULTRA【100マイルにおすすめのトレランシューズ】
来月にUTMFを控えている近江竜之介選手がUTMFで使用予定のシューズがこれ、Adidas TERREX AGRAVIC ULTRAだ。
このシューズのポイントは100マイルに対応した、疲労感を低減できる高いクッショニング性と、どんな路面でも対応できる安定感にある。
重量は前2つに比べると重いが、その重さも安定感を出すために必要だと思えば問題ない。
タフさもあって、本当に100マイルのために作られたようなシューズである。
近江竜之介選手曰く、林道などのトレイルが走りやすく、『トレランシューズ界の厚底カーボンプレートシューズ』とのこと。
疲労感を低減してくれるのは、ウルトラランナーにはありがたいことだ。
まとめ【トレランシューズこそ履き分けが重要!】
いかがだったでしょうか。
トレランシューズの履き分けは怪我を防止したり、トレーニング効果を高めることもできます。
主に距離を目安にしてシューズの履き分けを行うことで、シューズの持ちも違ってくると思います。
Youtubeチャンネルで詳しく解説していますので、こちらも併せてご視聴ください!