マーケティングの大家のひとり、森岡毅さん。本も色々と出されていますが、そのうち「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」はマーケターやマーケティング初心者だけでなく、あらゆるビジネスパーソンが読むべき本といえます。
今回は、この本から私が学んだポイントを3つに絞ってご紹介したいと思います。
「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」について
この本は、P&Gから当時苦しんでいたUSJに転職し、そのマーケティング力で見事V字復活させた裏側や考え方を通じて、「マーケティングとは」を教えてくれる本です。
たった1つの考えたはざっくりいえば「顧客第一」なのですが、言うは易く行うは難し、です。マーケティング部門がハブとなって「顧客第一」を組織に浸透させるのは簡単ではありません。
森岡毅さんがマーケターとして組織をどの方向にどう導いていったのが、その根底にあるマーケティングの考え方も含め、学べる一冊です。
「この値段で、この内容か」と思ってしまうほどお得です。ぜひチェックしてみてください。
「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」から学んだ3つのポイント
なぜ「戦略」が重要か?
一見すると「マーケティング」とは直接関係がないように思えてしまうかもしれませんが、「戦略」の重要性は漠然としか理解できていませんでした。
そんななか、マーケティングについて学びたいと思い本書に手を伸ばし、たまたま「戦略」について理解を深めることができました。
森岡さんは、本のなかで「戦略的思考はマーケターになるための第一歩」としています。そして、戦略とは「目的達成のために資源を配分する選択」と定義しています。
言い換えると、
・目的がない
・資源が無限にある
この2つの条件が揃っている組織において、「戦略」は不要です。しかし、ほとんどの企業には目的があり、そのために必要な資源は常に不足しているでしょう。
実際、USJの復活劇において象徴とされる「ハリーポッター」のアトラクションができるまで、森岡さんは戦略的選択の連続だったそうです。キャッシュフローが非常に苦しいなか、資源を集中させるべきポイントを見極め、成功を積み上げることで入場者数を伸ばしました。
現状の正しい認識が、顧客理解にもつながる
特に事業会社のマーケターとして仕事をしていると、どうしても視野が狭くなり、ともすると顧客視点から外れてしまいます。
森岡さんは、本のなかでも戦況分析の重要性を説いています。別著「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力 (角川書店単行本)」でもより詳しく解説されているので、興味のある方はぜひご覧ください。
戦況分析を行うことで、自社を取り巻く市場構造を正しく理解し、それを味方につけた戦略を展開できます。私は、戦況分析を通じて自社をより客観的に分析し、結果として顧客目線につながると感じました。
たとえば、USJは社内でも「ディズニー」を競合として見る声が強かったとのこと。しかし、戦況を冷静に分析し、顧客の視点にも立って考えると、関東に住んでいる人が「次の週末にディズニーにしようか、USJにしようか」とはあまり悩まない。
関西に遊びに行く時にUSJに行くかどうかならまだしも、です。戦況分析により、「映画」に絞ったブランディングが「自己満足」であったとして「人気キャラクターのセレクトショップ」に変身し、入場者数の増加につながっています。
マーケターは組織を正しい方向に導く責任がある
マーケティングから組織論のような領域にもつながるのですが、森岡さんがマーケターは組織横断で顧客目線を貫かせる役割があるとしています。
実際、森岡さんはUSJでそのような組織体制を構築し、アトラクションの開発部隊などと連携しながら、あくまでマーケティング主導で「どこで戦うか」「どんなアトラクションを作るか」を推進しています。
逆にいえば、マーケターは組織を成功に導くかどうかの起点になっています。顧客目線でいくら正しいことを言っても、周囲が納得して動いてくれなければ成果につながりません。
森岡さんのUSJでの奮闘記は、そんなメッセージにも受け取れます。
「マーケティングと組織」については以下の本でも詳しく述べられているので、こちらもぜひご覧ください。
マーケターや若手ビジネスパーソン必読の本「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」をご紹介しましたが、別記事でマーケティングのおすすめ本や森岡毅さんの著書もまとめています。