「マーケティング」と一口に言っても、人それぞれのイメージや定義は異なるものです。それだけマーケティングとは幅広く、重要な活動です。
筆者もマーケティングを学び始めたばかりの時は古典的なマーケティング本を中心に手を出すものの、難しくて挫折もしました。そこで、今回はマーケティングの実践的な側面も含めて初心者でも学びやすい本を厳選してお届けします。普遍的な考え方に比べ、最新の技術や理論を学ぶための2022年最新のマーケティング本もご紹介します。
最初はマーケティングを難しく感じるかもしれませんが、そのエッセンスはマーケターだけでなくあらゆるビジネスパーソンに役立つ考え方・スキルだと確信しています。本記事でご紹介しているマーケティング本をぜひ手にとってみてください。
マーケティングのおすすめ本・TOP5
結論ファーストで、まずはマーケティングのおすすめ本TOP5をご紹介します。
独学でマーケティングを学び、Webサイト運営などで成果を出せるようになってきた私のおすすめTOP5は以下です。
- 顧客起点マーケティング 西口一希著
- USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 森岡毅著
- ジョブ理論 クリステンセン著
- グロービスMBAマーケティング グロービス経営大学院著
- 確率思考の戦略論 森岡毅著
「顧客起点マーケティング」「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」はいずれも初心者向けに実例も交えつつ体系的に「マーケティングとは」を理解できる本です。
上記2冊はいずれも「顧客視点」の重要性を説いていますが、その「顧客視点」をより深堀りしたのが「ジョブ理論」といえます。
初心者というより、中級者以上を対象としていますが、「グロービスMBAマーケティング」は改めてマーケティングの基本をおさらいしながら、レベルアップを図るのにおすすめです。
そして、マーケティングについて学んだ知識を実践の場で戦略的に実行したい方には「確率思考の戦略論」は非常におすすめです。
初心者におすすめのマーケティング本・14選
では、おすすめのマーケティング本14選を紹介していきます。主に初心者向けなので、理論ばかりが詰まったものというより、実務でどう活用されているか、など具体的なマーケティングのイメージも分かるような本を中心に紹介します。
マーケティングの本家・P&Gのエッセンスが詰まった『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』
マーケティングの強い企業として有名なP&G出身で、企業の存続が危ぶまれていたUSJジャパンを再生するどころか、ディズニーと並ぶエンターテインメント・テーマパークにまで成長させた森岡氏。
著者が顧客目線が全然なかったUSJという組織をいかに転換し、現在のUSJの礎を築いたか、その奮闘を知ることができます。また、いかに間違った「差別化」があったのか、値上げをしながら客数を増やしたマーケティング戦略などが解説されています。
- 「映画のセレクトショップ」からの転換
- ハリーポッターのアトラクションができるまでのマーケティング戦略
など、USJ復活の裏側をマーケティング視点で学びたい方はこの本を手に取ってみてください!
森岡毅さんの本については別記事でもまとめています。
「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」から学ぶ3つのコト – スポビズ研究所
マーケターはデータを分析していればよいのか?『顧客起点マーケティング』
マーケティングといえば、「データを分析し、それをもとにマーケティング施策を打ち出す」といったイメージを持っている人もいるかもしれません。
しかし、これはひとつの側面にしか過ぎず、むしろ数字に依存し、統計的な顧客像をもとにした施策は顧客の心に刺さらないことがほとんどです。
本書で紹介される9セグマップに沿って自社の顧客をセグメントし、それぞれのセグメントでN1インタビューを行うだけで、マーケティング施策につながる「アイデア」を発見できます。
「スマートニュース」を急成長に導いた西口氏が、その戦略やフレームワークを解説してくれています。目の前の顧客に向き合うだけで、マーケティングを通じた大きな成果をいかに得ることができるか、イメージさせてくれる本です。
「顧客起点マーケティング」のより詳細な内容は以下の記事でも解説しています。
成熟市場にこそ必要な「顧客起点マーケティング」とは – スポビズ研究所
マーケティングでは相関ではなく因果関係を!『ジョブ理論』
マーケティングにおけるデータ分析が陥りがちな罠が「相関」と「因果」を混同することです。どんな顧客に売れているのか、年代や性別、職業などの属性で顧客を細分化しがちです。
もちろん、マーケティングではセグメンテーションが基本のひとつではあるのですが、このような属性だけでは、商品やサービスの購買における「相関関係」しか明らかになりません。
顧客がそのプロダクトに辿り着くには、企業からは見えないさまざまな背景があります。
どんなことを解決したくて、その顧客がどのようなチャネルやタイミング、心理で「購買」に踏み切るのか。この「因果関係」を明らかにしていくうえで、本書の「ジョブ理論」の考え方が非常に有用です。
ミルクシェイクを例に取ると
・文脈:長い車通勤の車中で朝食を取りたい。運転しながら、すぐになくならないもの
・機能的価値:甘くてすぐに飲み切れない(長持ち)。ホルダーに収められる。
・感情的価値:朝からチョコレートを食べるのを回避。同僚に見られても恥ずかしくない。
レビュー記事もありますので、興味のある方は併せてご覧ください。
また、「ユーザー体験」という視点で深堀りしていくには、以下の記事もご参考ください。
【UX/UIデザイン】初心者向けおすすめ本 6選|2021年最新版 – スポビズ研究所
真の競合をどう見極め、市場を「作る」か『「行動デザイン」の教科書』
商品やサービスの機能面だけでは差別化が図りづらくなり、低価格競争に陥ることもしばしばあります。その一因は、「プロダクト」を起点にSTPや4Pといったマーケティング戦略を打ち出していることにあります。
先ほどの「ジョブ理論」に通ずる部分もある本書は、顧客の「行動」からプロダクトのコアな価値やその打ち出し方(コミュニケーション)を考えていくことで、市場を作ったり拡大したりできる、としています。
また、「行動デザイン」の考え方に沿うことで、「真の競合」が見えてくるでしょう。商品・サービスと顧客を結ぶ「行動」を解明すれば、自ずと顧客視点になれます。
マーケティングで重要な「顧客視点」をより実践的に理解したい方におすすめの本です!
顧客の「心理」を理解する重要性『シュガーマンのマーケティング30の法則』
本場アメリカでダイレクトマーケティングのさまざまな成功を収めてきた著者による、顧客の心理を踏まえたマーケティングの考え方が多面的な切り口から解説されています。
マーケターとして、顧客の心理がどう動き、購買する・しないといった選択に影響しているのか、これを理解する重要性は言うまでもありません。学問的なレベルまではいかなくても、「心理学」の基礎を抑えておくとマーケティングの業務に活かせる点も多いでしょう。
本書は、マーケティングと心理の関係を理解するのにはうってつけの一冊です。
デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法(MarkeZine BOOKS)
デジタルマーケティングの本ではありますが、そのなかで「マーケティングとは」をわかりやすく解説。「マーケティング」の定義は人によって様々ではありますが、「売れる仕組みづくり」に加えて、消費者側に立って「買いたい気持ちづくり」と定義しています。
そのうえで、マーケティングを推進するうえでの優先度について本質的な視点を提供してくれています。
現代の最先端のマーケティングを学ぶ『革命のファンファーレ』
2020年、新型コロナウィルスが到来し、特にオフラインを中心としたビジネスが大打撃を受けています。
そこで注目されていたひとつの施策が「クラウドファンディング」を活用した資金集めです。「前売り券」などの形で、そのお店やタレントなどのファンが従来の活動が制限される事業者を応援します。
実は、このクラウドファンディングや、オンラインサロンといった活動を何年も前から展開していたのが著者の西野亮廣氏です。この当時に書かれていたことが、まさに2020に世間に浸透していることがよく分かります。
「顧客」ではなく「ファン」を増やすことの重要性、いかにファンを増やしていくか、など常に時代の最先端を走る著者が、マーケティングや広告における考え方を記しています。
西野亮廣氏関連の書籍まとめはこちら
事例も交えながらマーケティングのフレームを学べる『マーケティング大原則』
マーケティング自体が幅広いですが、数値や理論を駆使した複雑なものというイメージを持っている人も多いかもしれません。しかし、マーケティングの原則自体は実にシンプルです。
基本となるフレームを理解し、いかに実践できるか。本書は、マクドナルドや、ポケモンGoの生みの親であるナイアンティックのマーケティングで活躍した著者が、その経験も交えながらマーケティングの原則を分かりやすく解説しています。
明日のプランニング 伝わらない時代の「伝わる」方法 (講談社現代新書)
デジタルの普及により、消費者が目にする情報が爆発的に伸びています。企業側がネットやSNSで一方的な発信をしたり広告を打ったりしても、そのメッセージを直接受け取ってくれる可能性は非常に低いです。
情報が砂の一粒のような、見つけてもらいにくい時代にどうアプローチすべきか、その本質がまとめられています。
「確率」をマーケティング戦略に応用する『確率思考の戦略論』
森岡毅さんの著書をもう一つ。数学的な要素も大きい本書ですが、マーケティング戦略を考案するうえで基本となる考え方とフレームを習得できます。内容自体はやや難解に感じるかもしれませんが、数学的な内容を飛ばして読んだとしても非常に学びの大きい一冊です。
市場構造の決め手となる消費者の「プレファレンス」の理解を深めることが大切です。自社が達成したい売り上げや利益の目標から逆算し、どのような層に対してどれだけの認知が必要で、そのためにどのような施策を行うか、といったプランニングに必要な確率的な考え方を学べる本です。
普遍的なマーケティングの基礎を習得するなら『グロービスMBAマーケティング』
ビジネススクールとして多くの人に知られる「グロービス」が、その講義内容や知見をもとにマーケティングの原則を多面的にまとめた一冊です。
マーケティングにもさまざまな領域がありますが、それらを網羅し、一読すれば「ポジショニング戦略」や「コミュニケーション戦略」、「マーケティングリサーチ」など、知識として得ることができるでしょう。
学術的なテイストはありつつも、読んだ人が理解を深められるような具体的な事例も多くあり、網羅的に学習したい人には特に本書がおすすめです。
本場アメリカのマーケティングエッセンスを学ぶなら『ハイパワー・マーケティング』
マーケティングの本場はアメリカです。日本と比較して国土が広く、全ての顧客のもとを訪問するには無理があり、そのなかでいかに顧客を獲得するか、という文脈で「マーケティング」が発達しました。
そのアメリカで「バイブル」とされるのが本書です。どちらかというとデジタルを駆使したマーケティングの内容もありますが、リアルなマーケティングにも活用できる内容ばかりです。
本質的な価値の見抜き方『マーケット感覚を身につけよう』
インターネット社会では情報がオープンになり、特に機能的な価値はすぐに真似されてしまいます。ラーメンの味などは典型的な例でしょう。
そこで、現代のマーケティングで重要なのが消費者が商品やサービスに対して感じる本質的な価値を見抜くことです。それは必ずしも機能的な価値ではなく、感情的な価値や社会的な価値かもしれません。
有名なブロガーであるちきりんさん著のこの本では、分かりやすい文章でマーケット感覚の身につけ方を教えてくれています。この本を読むと、世の中の見方がきっと変わるでしょう。
<おまけ>デジタルマーケティングの本質を理解するにはこの一冊『デジタルマーケティングの定石』
新型コロナの影響もあり、企業のマーケティング戦略を考えるうえで「デジタルマーケティング」は無視できなくなってきています。しかし、「デジタルマーケティング」を何となく始めて何となく失敗するケースが後を絶ちません。
著者は、「AIアナリスト」というサービスで莫大な量のページを解析し、その知見からデジタルマーケティングの定石を導き出しています。
デジタルマーケティングができること、そしてできないことを理解したうえで、マーケティング戦略に組み込むことが大切です。
本書は、デジタルマーケティングの限界も含めて解説してくれており、これからデジタルマーケティングを担当していく方や興味のある方におすすめの一冊です。
【2022年最新情報】マーケティング・おすすめ本
近年新しく出版されたマーケティング本のうちおすすめの本をピックアップします。
ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング Webマーケティングの成果を最大化する83の方法
Webマーケティングで成果を出し続けた著者が、Webならではの特性を踏まえながら具体的な考え方と手法を惜しみなく解説している本です。デジタルの色々な手法があるなかで、ベースとなる考え方=「ファンダメンタルズ」から体系的にマーケティングを学びたい方におすすめです。
失敗から学ぶマーケティング ~売れないモノには理由がある~
マーケティングに限らず、「絶対に成功する法則」のようなものはありません。一方、確実に失敗につながる「地雷」はあると思います。
本書は、非常にボリュームが多いですが「マーケティングの失敗」を徹底的に解説しています。文章自体はわかりやすく、初心者からマーケティング経験豊富な方にまでおすすめの本です。
マーケティングの新しい基本 顧客とつながる時代の4P×エンゲージメント
マーケティングの基本的な考え方や本質は普遍的ですが、一方で消費者の行動や考え方、活用できるテクノロジーはどんどん速く変化しています。時代問わず通用する本質的なマーケティングと、新しい時代の基本を組み合わせて体系化した1冊としておすすめです。
教科書的な内容に加え、企業やサービスの実例も豊富に載っています。
人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学
古典的な経済学では人は合理的な行動を取ることが前提になっていますが、現実の人間の行動はもっと複雑で”醜い”部分もあります。なぜその行動を取るのか、陰陽両面的な視点で掘り下げ、学術的な内容も交えながら解説されています。
マーケティングで重要なインサイトの理解において、非常に役立つ内容です。顧客の購買行動において、顧客のを動かすのは必ずしも正の感情だけではありません。本書にあるような負のの側面の理解を深めることで、マーケティング活動の幅も広がるでしょう。
世界のマーケターは、いま何を考えているのか?
テクノロジーの変化や、生活者の考え方や行動の変化を俯瞰しながら、現代のマーケターとしてどのように世界を見てアクションを取るべきか。変化の激しい時代の指針を示してくれるような本です。
電通現役戦略プランナーの ヒットをつくる「調べ方」の教科書 あなたの商品がもっと売れるマーケティングリサーチ術
プロダクト開発やマーケティングコミュニケーションに活かせるアイデアを導き出すためのリサーチ術を余すことなく解説しています。
大手広告代理店・電通でもトレーニング教材となっているマーケティング・リサーチ術を学びたい方には非常におすすめです。
「心」が分かるとモノが売れる
人は私達が思ってるほど合理的ではなく、「心」で動く。今やマーケティングの大原則となっている事実ですが、数々のCMを売上につなげてきた著者が、消費者の心をどう捉え、マーケティングに活かしたかを実例を交えながら解説しています。
生活者のインサイトを捉えるのは簡単ではありませんが、日常のなかでのトレーニング方法も学べます。
「嵐」に学ぶマーケティングの本質
日本を代表するアイドル「嵐」がなぜ愛されているのか、マーケティング的な視点から解説しつつ、その本質に迫る一冊。表面的には目まぐるしく変わるマーケティングも、嵐を通じてそのエッセンスが見えてきます。
マーケター1年目の教科書
文字通り、マーケティング初心者に向けて体系的かつ実践的にまとめられた一冊。「マーケティング」といっても膨大な領域がありますが、カテゴリを分けながら簡易に解説されています。
マーケターとして数々の実績を残している2人の著者の経験と知識を効果的に吸収できる本として、これからマーケティングに携わっていく方におすすめです。
MBAホルダーがおすすめするマーケティング本まとめ
おすすめのマーケティング本50冊が詰め込まれた”マーケティング本”もあります。
世界のエリートが学んでいるMBAマーケティング必読書50冊を1冊にまとめてみた
マーケティング戦略の策定から具体的な戦術まで、古典的な本も含めバラエティに富んだ本が並んでいます。マーケティングという幅広い領域を多面的かつ複眼的に理解する意味でも、各書のエッセンスが詰め込まれたこの1冊を手始めに読むのも非常におすすめです。
マーケティングの本をKindle Unlimitedで覗くこともできる
本記事でこれからご紹介するマーケティングの本・参考書がおすすめではありますが、特に初心者・入門者の方にとって、いきなり書籍を購入するのは躊躇われるかもしれません。
そんな方におすすめなのは、Kindle Unlimitedです。初めて会員になる場合、無料体験期間もあるので、タイミングにもよりますが以下のような本を無料で読むことが可能です。
- 大学4年間のマーケティングが10時間でざっと学べる (角川文庫)
- 世界一わかりやすいマーケティングの本 (East Press Business)
- 世界を歩いて見つけたマーケティングのヒント
- はじめてでもよくわかる! デジタルマーケティング集中講義
- 恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。
- マンガでわかるWebマーケティング 改訂版 Webマーケッター瞳の挑戦!
費用を抑えつつ、気軽にマーケティングについて学びたい方はKindle Unlimitedのお試し利用もおすすめです。
忙しいあなたに!マーケティングの本を”聴く”Audible“
忙しくてなかなかマーケティングの本に手を出す時間がない・・・というあなたおすすめなのが、本を”聴く”ことができるAudible。
移動中や何か作業をしながらでも、マーケティングの知識をインプットできます。月額制で毎月1冊選べます。追加で購入することも可能です。
Audibleで聴けるマーケティング本は以下のようなものがあります。
- 世界一わかりやすいマーケティングの本
- デジタルマーケティングの定石 なぜマーケターは「成果の出ない施策」を繰り返すのか?
- 新訳 ハイパワー・マーケティング あなたのビジネスを加速させる「力」の見つけ方
- マーケット感覚を身につけよう—「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法
2022年1月よりAudibleで聴き放題サービスが開始!
従来は月額プランで1タイトルずつ新しい作品を聴ける仕組みでしたが、何と対象作品は聴き放題と改定されました。上記のようなマーケティング本も聴き放題プランの対象に入っているものが多いです。
移動中や家事、散歩やランニングなどをしながらマーケティング本を聴いてみてはいかがでしょうか?
→マーケティング本を始め、多くのビジネス書が聴き放題のAudibleはこちら
マーケティング本でのおすすめ勉強法
ここまで紹介した初心者向けのおすすめマーケティング本について、ばらばらに読んでいくのではなく、筆者なりにおすすめの読み進め方を考えてみました。
まずは、最初に紹介した「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」で マーケティングの全体像を把握するのが良いでしょう。
- 顧客の頭の中を制する
- 売り場を制する
- 商品/サービスの使用体験を制する
3つの全体像とこれを実現するための戦略の考え方をまずは身に付けます。
そのうえで、3つのポイントについて深堀りしていきます。ただ、「店頭を制する」についてはコロナ禍でのマーケティングも踏まえ、消費財などのマーケターでない限り、一旦飛ばしても問題ないでしょう。
「顧客の頭の中を制する」というのは、顧客の頭の中に「ブランド・エクイティ」を築き上げること。これには、広告やPRから商品体験に至るまで、あらゆる接点が複合的に絡み合います。
「ブランド・エクイティ」を築くための基本姿勢を習得するには、「顧客起点マーケティング」と「明日のプランニング」がおすすめ。 各セグメントの顧客に対してどうアプローチすべきか、コミュニケーションとしてどのようにメッセージを届けるべきかがクリアになります。
「顧客体験」を制するには、バズワード的に広まっている「UX」への理解が不可欠。色々と難しい用語も飛び交っていますが、まずは「ジョブ理論」を押さえておけば十分でしょう。
ここまでのポイントを網羅したうえで、「グロービスMBAマーケティング」で知識を体系化するとより一層考えが深まります。是非、試してみてください。
<実践編>おすすめマーケティング勉強法
マーケティングに限らず、本などで知識を身につけても実践で成果を出せるとは限りません。知識習得と実践のサイクルをたくさん回してこそ、現場で使えるマーケティングのノウハウを習得できます。
マーケティングを実践するおすすめの方法は、ずばりブログやSNSの運営です。
単なる発信活動と捉えてしまうとぼやけてしまいますが、誰(WHO)に対してどんな価値を提供するか(WHAT)を定義し、コンテンツを発信するという点で本で学んだマーケティングの知識をフル稼働する場に適しています。
また、インターネット時代で発信者が多い中、どう差別化すべきか必然的に考えるでしょう。
さらに、ブログやSNSはアクセス数やインプレッション数、エンゲージメントなどの数値がリアルタイムで取得できます。デジタルが侵食してきているなかで、マーケターとして活躍するには分析スキルも不可欠です。
数字だけに囚われる必要はありませんが、擬似的なマーケティング戦略から実行、PDCAサイクルを回すところまで一人でもすぐに始められるのがブログやSNSです。
様々な本を読んでみたもののイマイチ手応えを感じていない人は、是非実践してみてください。
<応用編>上級者のおすすめのマーケティング本
本記事ではおもに初心者向けのマーケティング本をご紹介していますが、マーケティングの基礎を理解・実践している方におすすめの本もいくつか掲載しておきます。
リーダーにもおすすめ!『マーケティングとは「組織革命」である。』
マーケティングでは、商品やサービスを創造し、それを顧客に届けるまでの全てのプロセスに関わります。言い換えると、部署などの壁を超え組織全体に横串を刺し、それぞれが機能するように設計したり、時には泥臭いコミュニケーションや交渉をしたりといったことが求められます。
森岡氏がUSJを立て直せたのも、マーケティングのトップとして組織を動かし、「マーケティング脳」を定着させることができたことが大きいです。そんなエッセンスなどが書かれているのがこの本です。
「信用」が重視される時代のマーケティングとは?『THIS IS MARKETING ディスイズマーケティング 市場を動かす』
マーケティングといえば、「広告」のイメージも未だに根強いですが、現代は誰もが情報発信を行えるため、いわゆる「誇張広告」は通用しなくなっています。
「信用」が重要視される時代において、マーケティングに携わる者として備えておくべき素養や考え方が解説されています。
具体的なマーケティング事例も盛り込まれていますが、海外の本の翻訳であること、マーケティング初心者にはやや抽象的でレベルが高いことから、応用編に入れています。
マーケティングの真髄・消費者心理の理解に役立つ『「欲しい」の本質』
マーケティングを考えるうえで、消費者の深層心理を理解することが欠かせません。
一方で、「ニーズ」の段階では消費者本人がそれに気づいていない・言語化できないことも多く、マーケターとしてはこれを先回りし、商品やサービスに活かし、その「インサイト」を突いたプロモーションを行うことが大切です。
「インサイト」について深い洞察が入ったおすすめのマーケティング本です。
データ・ドリブン・マーケティング―――最低限知っておくべき15の指標
こちらもマーケティングの基礎を理解した方向けの本となりますが、「データ・ドリブン・マーケティング」は非常におすすめ。
マーケティングは非常に守備範囲が広いことは触れた通りですが、特に「認知」や「比較検討」など、直接的に売上に結びつかないマーケティング施策の効果測定が課題とされています。
今では様々なデジタルテクノロジーの発展もあり、データをうまく活用したマーケティングをできるかどうかで業績が大きく分かれているとのこと。データ・ドリブン・マーケティングの真髄「成果の測定」の考え方、重要な指標を学びたい方に読んでほしい本です。
取得できるデータの量が増えた分、マーケティングにおいてもデータ分析・活用の重要性が増しています。データに向き合うための考え方を学べる本もまとめているので、こちらもご覧ください。
データ分析のおすすめ本|ビジネスマン必見 – スポビズ研究所
ブランディングの科学 誰も知らないマーケテイングの法則11
マーケティングの実務をある程度経験した方に、マーケティングの原理や法則を再確認するのにおすすめの一冊がこちら。
マーケティング・デジタルマーケティングに関わっていると、どうしても目先の数字や手法に翻弄されがちです。新しいテクノロジーやバズワードに惑わされ、マーケティングの基本を見失うことも多いのではないでしょうか。
この本は、そんなマーケターが立ち返る場所でもあり、マーケティングの”常識”にも一石を投じるような内容が詰まっています。
マーケティング・リサーチを学べる本
マーケティングはトータルで考えると非常に長いプロセスですが、その始まりは基本的に「現状把握」「分析」です。言い換えると「マーケティング・リサーチ」となります。
特に、マーケティングのデジタル化が進んでからはデータをもとに施策を練ることが基本となっています。簡単に膨大なマーケティングデータが手に入るなかで、正しく数字と向き合えるかが大きな分かれ目となります。
マーケティングリサーチとデータ分析の基本
マーケティング・リサーチの本はマーケティングの内容というよりも統計学的・学術的な内容の本が多いなか、リサーチ会社の中の人が実践的なマーケティング・リサーチやデータ分析の基本を記しています。
マーケティング・リサーチはそれ自体が目的ではなく、プロダクトのコンセプトや施策などの意思決定に活かすものです。理論と実践を結びつけてくれる本として非常におすすめです。
また、リサーチを実施するにあたり重要なマーケティング仮説の構築についても詳しく解説しています。
マーケティングリサーチの論理と技法
マーケティング・リサーチをより理論的・本格的に学びたい方におすすめなのが本書。非常にボリューミーですが、マーケティング・リサーチについて網羅的に解説されています。
マーケティング本の選び方
マーケティングの重要性・注目度が高まっているのもあり、近年はマーケティング・デジタルマーケティングの本が増えているように感じます。特にマーケティングをこれから学びたい初心者におすすめの本の選び方をご紹介します。
最終的には、マーケティングの全体観を掴めるような網羅的な本で知識を体系化していく必要はありますが、入り口としては特定の企業の一連の具体例を追体験しながら、「マーケティングとは」を掴んでいくのが良いでしょう。
マーケティングの理論そのものは割とシンプルですが、それが実務やビジネス成果にどのようにつながるのかをイメージできる本がおすすめです。
その意味で、冒頭の「マーケティング おすすめ本 TOP5」でも挙げた「顧客起点マーケティング」や「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」は、マーケティングの最初の本として必読といえます。
今回は、「マーケティング」にフォーカスしておすすめ本をご紹介しましたが、本ブログは主に「スポーツビジネス」に関する情報を発信しています。スポーツビジネスに関するおすすめ本も以下で紹介しているので、こちらも是非ご覧ください。
スポーツビジネス『おすすめ本』13選 ~2020年最新版~ – スポビズ研究所
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