「マーケティング」は非常に範囲が広く、人によっても定義が異なります。単なる広告運用やクリエイティブづくりだけにとどまらない、本来的なマーケティングは経営と密接に絡んでるとも言われます。
マーケターでなくとも、仕事全般や人生にも役立つとされる「マーケティング」。イチから学ぶと非常に膨大ですが、初心者含めてどう学ぶべきか。新卒からエンジニアを本職をしつつ、未経験・独学からマーケティングの副業もこなすようになった筆者の体験談も交えながら、マーケティングの勉強法を解説します。
マーケティング勉強法・概論
課金型か低コストでスモールスタートか
大きく分けて、がっつり課金して本格的に学ぶか、無料や少額の費用からスタートするか、という選択肢があります。中長期的なスパンで、明確にマーケティングでのキャリアを見据えている人であれば、ビジネススクールやオンラインのスクールなどがやはり王道でしょう。
一方、まずはどんなものか知ってみたい、ライトに始めてみたい方であればYoutubeの動画やWebの記事コンテンツ、もう少し踏み込んで書籍から始めるのがよいでしょう。
もちろん、この両方をミックスしながらマーケティングを勉強するのも効果的です。
インプット重視かアウトプット重視か
もうひとつの軸として、インプット/アウトプットのバランスがあります。もちろん、どっちも追えるのがベストですが、まずはインプットからと考える方も多いでしょう。
ただ、筆者の経験からすると、プログラミングと同様でマーケティングも知識のインプットばかりでは実践で使えるようになりません。アウトプットしながら知識と経験を蓄積するのがより効果的な勉強法であると強く感じています。
そして、プログラミングの勉強法と大きく異なるのは、マーケティングでは実際に第三者の反応を見ながら学べるツールがあるという点です。
具体的にはデジタル領域になりますがブログやSNSが代表例です。マーケティングの重要なスキルの一つに分析から改善を行う一連のプロセスがあると思いますが、ブログやSNSはユーザーの反応を定量的に可視化でき、PDCAを早いサイクルで回せます。
集客はどうなのか、コンテンツへの反応はどうなのか、良いコンテンツの共通点など、アウトプットをしながら改善していける身近なマーケティングの勉強法としておすすめです。
おすすめのマーケティング勉強法・具体的手法
それでは、マーケティングのおすすめ勉強法のHowをご紹介していきます。
初心者でも無料で手軽に!Youtubeで学ぶ
マーケティング自体、長い目で見ると日本ではあまりなじみのない分野です。従来は足で稼ぐ営業で売上を伸ばせている会社が多く、「マーケティング」の必要性が高まったのは割と最近です。
※営業もマーケティングの一部という考え方もありますが
また、英語が多く何となく難しいイメージを抱いている方も多いでしょう。そんな方でも低いハードルからスタートできるのが、Youtubeを活用した勉強です。
通勤通学の時間や、家で家事などをしながら合間の時間で手軽にマーケティングを勉強できるツールでもあるので、まずはYoutubeでいくつかマーケティングに関する動画を見てみるのはおすすめです。
体系的なインプットなら書籍に勝る勉強法はない
Youtubeを始めとした映像コンテンツ全盛の時代にあっても、ある程度腰を据えてマーケティングを学ぶのであれば、書籍に勝る勉強法はないと感じます。
冒頭でも述べた通り、「マーケティング」には様々な定義があり、著書によっても表現は異なります。しかし、マーケティングを解説した書籍を複数読んでみると、本質ではつながっているように感じると思います。
本には、著者のエッセンスが凝縮され、具体レベルから抽象レベルまで有機的につながっています。
YoutubeやWeb記事などの具体的なマーケティングの事例と照らし合わせながら本で学ぶのが非常におすすめです。
なかでも、初心者としてマーケティングを勉強する場合、まずは以下の3冊がおすすめです。一度ですべてを理解するのは難しいかもしれませんが、何度か繰り返して読んでみると、本質はつながっているのが分かります。
USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門 (角川書店単行本)
USJの復活劇を通じて、マーケティングのエッセンスを実践的に学べます。多くの学びがありましたが、なかでも「市場理解」と「消費者視点」の重要性を感じられる内容です。
また、「戦略」を始めとしてマーケティングに必要な考え方を丁寧に解説しています。
たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング(MarkeZine BOOKS)
「消費者視点」は、一人の顧客を徹底的に理解することから始まります。マーケティングと「定量分析」は密接的に絡み合っていますが、デジタル活用が進み、消費者ニーズも多様化している現代こそ必要な考え方を学べます。
ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム
消費者を理解するうえでの実践的なフレーム(考え方)が「ジョブ理論」です。なぜその商品・プロダクトを「雇用」するのかを明らかにすることで、再現性の高い”マーケティング”を実践するうえでの基本的な考え方として、理解しておくとよいでしょう。
別記事にて、マーケティングのおすすめ本をまとめているので、こちらもご覧ください。
『マーケティング本』初心者におすすめの14冊|2021年最新版 – スポビズ研究所
デジタル手法(ブログ・SNS)で実践
マーケティングは非常に広い概念であり、そのすべての専門家になるのは現実的ではありません。しかし、今ではSNSやブログを活用することで、マーケティングについて勉強したことを実践することも可能です。
マーケティングに限らず、「アウトプットが最大のインプット」とも言われます。しかも、実質タダで実践できるのがブログとSNSであり、アウトプットを起点に学びを深めたい方にはぜひ試してもらいたい勉強法です。
ユーザーのニーズを考えながら、
- どんな人に何を届けるか考える
- 似たジャンルで発信している人との差別化・優位性を検討する
- どんなコンテンツを発信すればよいのかを考えるうえでペルソナやカスタマージャーニーマップを考えてみる
- ペルソナに合わせたコンテンツを考えて発信する
- コンテンツへの反応(シェアやいいねなど)を分析しながら、コンテンツを改善する
- 単にインプレッションを増やすだけでなく、マネタイズポイントを考えてみる(広告意外にもアフィリエイトや有料コンテンツなど)
- 有料コンテンツにつなげるには、どんなコンテンツが必要か企画・実行する
ざっと挙げてみただけでも、マーケティングの実践的な勉強法になっていることが分かると思います。
企業やサービスを徹底的に分析する
自身でコンテンツを発信していくことでもマーケティングを一通り疑似体験できますが、さらに多面的に学びたい場合は、日々のニュースからマーケティング視点で深堀りしていく勉強法がおすすめです。
たとえば、何か世の中でヒットしている商品があったとして、なぜその商品が売れているのかを分析します。
- ターゲットはどんな人なのか
- どんなベネフィットがあるのか
- 競合とは何が違うのか
- 広告で何をどのように訴求しているのか
といった内容を分析します。言ってみれば、STPや4P(消費者視点で4C)といったフレームに沿って、自分なりに分析することで、自社のプロダクトに活用できる学びを得ることができるでしょう。
マーケティングに付随して学ぶべき領域
マーケティングは「市場創造」であり、商品・サービスの構築やそれらを通じた生活者への価値提供に関わるすべての領域を指します。よって、マーケティングを俯瞰的に学ぶうえで、関連する領域が多くあります。
そのなかでも、デジタル活用が普及した現在に重点的に学ぶべき領域をご紹介します。
データ分析・データサイエンス
Webサービスやアプリなどデジタルプロダクトが普及し、消費者向けブランドでもECを始めとしたオンライン販売やオンラインでの接点が広がっており、計測できるデータが増えています。
ユーザーの行動をデータから分析し、プロダクト開発や顧客体験向上に結びつける巧拙がそのまま競合との差につながる時代です。もちろん、定性的な分析も重要ですがデータ分析のマーケティングを実践するうえで欠かせないスキルと言って良いでしょう。
データ分析のおすすめ本については下記でご紹介しています。
データ分析のおすすめ本|ビジネスマン必見 – スポビズ研究所
UX(ユーザー体験)
データ分析と両輪といえるのがUXです。こちらは「数」ではなく、どちらかといえばN=1つまり一人のユーザーがプロダクトを通じて得る体験やその体験に対する知覚にフォーカスします。
ユーザーに長くサービスを使ってもらったり、友人・知人に紹介してもらったりするにはUX向上が鍵になります。また、UXはプロダクト使用時だけでなく事前の期待値や長いスパンでの使用経験までをカバーするため、マーケティングの4Pや3Cなどとの関連性も高いです。
UXに関するおすすめ本は下記の記事でご紹介しています。
【UX/UIデザイン】初心者向けおすすめ本 9選|2022年最新版 – スポビズ研究所
筆者の体験談:本とブログ運営を組み合わせたマーケティング勉強法
筆者は、本職がシステムエンジニアであるため、マーケティングの勉強に多くの時間を割くのが難しい状況でした。そのため、まずは本をいくつか読みながら基本的な考え方を学びました。
ただ、仕事で直接実践できるわけではないため、ブログを運営してみることにしました。本で学んだ考え方を活かしつつ、マーケティングの一つの領域であるSEOも勉強し、集客を増やしていきました。
ある程度集客が増えてくると、Google Analyticsやサーチコンソールのデータも蓄積され、現状分析から改善施策を実行する一連の流れも体験できます。
こうした実践による学びを踏まえながら、新しい本やすでに読んだ本を繰り返し復習してみると、それまで「点」だったマーケティングの知識が結びついていくのが分かりました。
そうすると、世の中のニュースからその企業の狙いや消費者の心理も少しずつ推測して仮説を立てることもできるようになってきます。
結論、一つに絞るというよりは自身の取れる時間や状況に合わせて組み合わせるのが良いでしょう。そのなかでも、私のような初心者の場合は、まず本から始めてみるのがおすすめです。
マーケティングを勉強するうえで欠かせない「アナロジー思考」
インターネットが普及し、世の中には多くの情報が溢れています。今では、検索などから得たい情報はある程度取得できる(しかも無料)ようになっています。
だからこそ、マーケティングにおいても競合他社をベンチマークにしやすく、結果として似たようなプロダクトや施策に収束しがちです。
この時代において、マーケティングの勉強を始め役立つ頭の使い方が「アナロジー思考」です。他社分析からの学びを最大化するうえで、抽象と具体を往復して遠い領域からでも有用な学びをもたらしてくれます。
以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひチェックしてみてください。