『野球離れ』問題点を解説

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今回はビジネス的なトピックというより、もう少し広い視点で記事を書いてみます!
近年、何かと話題になる「野球離れ」についてです。

野球離れ

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「野球離れ」がなぜ問題なのか?少年野球の問題がプロ野球にどうつながるか

 

そもそも、これだけ「野球離れ」が騒がれているわけですが、競技人口減少(入口としての少年野球の問題点)の何が問題なのでしょうか?
日本全体のマクロなトレンドとして、「少子化」が叫ばれて久しいわけですが、野球人口はそれ以上のペースで減少していると言われています。
競技者、特にその入口である少年野球・学童野球の人口が減る(野球離れが進むと)と何が問題となりうるのでしょうか?
個人的には、大きく分けて以下の2つがあると思っています。
  1. 競技レベルの低下
  2. 将来的なファンの減少

野球離れと循環

野球離れの問題点①:競技レベルの低下

競技レベルの低下については、シンプルにプロ野球選手になれる人数(支配下70人+育成枠、が12球団)が変わらず、全体の競技者数が減少すればその分プロになる競争倍率は下がります。
つまり、昔ならプロになれないであろうレベルの選手がプロになりうるということです。
そうなると、天下のプロ野球といえどレベルの低下は免れず、長期的に見て人気の低下、ひいては収益悪化等につながる可能性があります。
最近はプロ野球の球団数拡大(エクスパンション)の議論もありますが、球団数が増えたうえに野球離れが進めば、プロ野球の競技レベルが下がっても不思議ではありません。

野球離れの問題点②:将来的なファンの減少

「競技レベルの低下」もクリティカルな問題ですが、将来的なファンの減少もビジネス的に見て大きな問題です。
現在の野球ファンは恐らく30~40代の野球をプレーしてきた男性がボリュームゾーンだと思います。
1度でも球場に足を運んだことがある方であれば感覚的に理解できるのではないでしょうか。野球に限らず、その競技のファンは自身がプレーした経験がある人が多いはずです。
とすると、野球人口の減少は将来的なファンの減少を招きます。
これだけ野球離れの問題が議論されていても、なかなか対策が進まないのは野球離れによる問題が今現在見えるものではなく、将来的な影響として過小評価されている側面があるのではないでしょうか。
近年、プロ野球球団による経営努力や新しいマーケティング施策などで新しいファンの獲得に向けた多大なる努力がなされています。
しかし、これはコアなファンの存在があってこその側面もあり、野球離れが進んだ結果将来的にコアファンとなりうる層が薄くなれば、全体のファンが一気に減少しかねません。
<野球離れの現状について理解できる一冊>
10年後にマイナースポーツ転落!? プロ野球の「観客動員増」の裏で、「競技人口の減少」が止まらない。 「子どもの好きなスポーツ」でもサッカー、バスケに抜かれ3位に下落した。 野球が国民的スポーツとして復活する日は来るのか

野球離れ問題の現状:若年層全体の人口減以上に野球人口が減少

 

日本は少子高齢化が進み、子どもが少なくなっていくのが現実であり、これに伴って野球人口も減少すること自体は仕方のないことですが、全体のペース以上に小学生や中学生の競技人口が大幅に減少しているのです。
詳しくは、以下の動画も参考にしてみてください。


小林至「子供の野球離れ 深刻なんです…」 野球人気低迷 外的要因と内的要因 [モーニングCROSS]

なぜ、野球離れが急速に進んでいるか:少年野球が敬遠される理由

↑の動画にあるように、昔のように「スポーツといえば野球」という価値観から良い意味で脱却し、子どもとしても打ち込むスポーツの選択肢が増えています。
逆の現在の野球のコアなファンは「野球至上主義」ともいえた時代に少年時代を過ごした人も多いのかもしれません。
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野球離れが加速している原因として、価値観の多様化ももちろんあるかと思いますが、複合的に野球が持つ構造的な側面・問題点が大きいでしょう。
まず、野球を始めたいと思っても、最低9人は揃わないとチームが成り立ちません。さらに、野球をプレーするにはバットやグラブなど、多くの道具を購入する必要があります。
いざ、これらのハードルを越えて少年野球チームとして活動できていても、そこには「指導者」「野球至上主義」「当番制」といった問題が立ちはだかります。
簡単にいえば、子どもに野球をさせるには、親にかかる負担が大きく、さらに少年としても野球を楽しんでプレーできるチームは限られており、それが原因で離脱してしまった少年は、将来野球を好きになってくれる可能性は低いでしょう。
一度離れた顧客が戻ってこないのと同じ論理です。

「野球離れ」の対策 ~少年野球の問題点とあるべき姿~

 

私自身、明確な答えがあるわけではないですし、正解はひとつではないでしょう。
ひとつ言えるとしたら、少子化以上のペースで競技人口が減っているということは、そもそも野球を始める少年が極端に減ったか、始めてはみたものの面白くなくて辞める人が増えた、あるいはその両方だと考えられます。
その原因は、、と突き詰めてみると、保護者の負担など様々ありますが、やはり「指導者」の問題はどうしても避けて通れませんよね。
あるいは、「問題」とされている指導をせざるを得ない構造的な要因(トーナメント形式が中心で、「勝利至上主義」になりがち)の方が問題かもしれません。
では、どうすべきか。そこで個人的には野球少年がみんな「4番・エース」を目指すようなチームだったら素敵だなと思うわけです。要は「楽しめる環境を」ということです。
なぜ、そう考えるのか。恐らく、野球離れに対して「つまらなくて辞める」が大きく寄与しているのではないかと思うからです。特に、レギュラーになれずなかなか出場機会のない少年。あるいは、「勝利のため」とバントを多く命じられる少年。
野球を始めるきっかけは、友達に誘われるとか様々なきっかけはあるでしょうが、最初は「ピッチャー」とは「ホームラン」とかに憧れを持っているはずです。それを削いでしまうようではもったいない。
ヤクルトで活躍した宮本慎也氏も言っていましたが、最初から「脇役」を狙うようではプロになれない。今、プロで「脇役」として活躍しているような選手も高校時代は4番かエース、あるいはその両方。もちろん、少年全員がプロを目指すわけではないですが、ポイントは練習や試合を「楽しめる」ことです。
このあたりは個人的な経験も踏まえてもっと書きたいことがあるのですが、かなり長くなりそうなので別の機会に書いてみたいと思います。
参考までに、巷で言われている現場の問題は下記のようなものがあります。もしご興味があれば調べてみてください。
  • 指導者の質:昔の野球(体罰・我慢etc)を叩き込まれており、それをそのまま指導する、など
  • 指導者の環境:「ボランティア」が中心であり、上記の「質」とも関係する
  • 勝利至上主義:勝利を優先し野球を楽しめなくなる、補欠選手の出場機会
  • 少年の環境:公園で遊べない、人数が揃わない
  • 保護者の負担:練習や試合での「当番制」や送迎

野球離れを食い止めるには、野球の”外”に目を向けることが必要

プロ野球チームをはじめ、「すでに野球をやっている少年」を対象とした野球教室はオフシーズンを中心にすでに全国各地で行われています。
野球少年がプロの選手と直接触れ合い、プロ野球選手へのあこがれを強くするなどメリットがありますが、野球離れの大きな要因は野球を始める人の減少でしょう。
よって、野球界の内部にのみベクトルを向けた取り組みでは、野球離れ問題の根底を解決することはできません。
野球をまだやっていない子どもへの取り組みが今後はより重要になってくるでしょう。早稲田大学の野球部の取り組みが普及していくと「野球離れ」の解決への糸口が見えてくるかもしれません。

toyokeizai.net

各スポーツの「シーズン化」も野球離れに有効?

日本ではそもそも子どもの人口が減少しているため、各スポーツの競技人口が減少するのは避けられません。そのなかでも「野球離れ」が問題視されているのは、子ども世代の人口減少以上のペースで野球競技人口が減少しているからです。

減少していく子どものパイを各競技が奪い合っても、競技人口減少には歯止めが効かないでしょう。

そこで、海外に目を向けてみると、たとえばアメリカではスポーツの「シーズン化」を徹底しており、野球は冬にプレーされません。将来、メジャーリーガーになるような野球少年も冬にはアメフトをプレーしているなど、よくある話です。

一方、日本ではどの少年スポーツや部活動においても1年中プレーしており、スポーツをひとつしか選択できないのが実情です。

少年レベルまで含めて各スポーツをシーズン化し、人口全体が減少していくなかでも競技者ひいては潜在的なファンを増やしていくことは日本でもできるかもしれません。野球離れの対策として、競技の枠を超えて検討してみる価値はあるでしょう。

野球離れは「早生まれ問題」とも密接に関連

 

野球離れと関連するトピックとして「早生まれ」の議論があります。

東京農業大学の勝亦教授が研究しているテーマでもありますが、統計データとしてプロ野球選手のうち4月から6月生まれが34.1%、それに対して1月から3月の早生まれは15.5%の数字が出ています。

日本野球に“早生まれ”が少ない理由。野球界は最終目標をどこに置く? – 高校野球 – Number Web – ナンバー

もちろん、生まれた月がそのまま野球の才能や能力に直結するわけではありませんが、野球を始める小学生くらいの段階では、誕生月によって身体の成長度合いにおいて相対的に差が出やすく、小学校の時点で周囲よりも試合で活躍できるかどうかにもつながりやすい面があります。

そして、それが自信につながり更に努力を積み重ねる人もいれば、「自分には才能がない」と思い野球から離脱したりモチベーションが上がらない人も出てくるでしょう。

その意味で、野球離れに対するアプローチとして、少年野球の学年区切りに関する制度設計や、早生まれの少年プレイヤーに対するケアがヒントになるかもしれません。

野球離れ問題の抜本対策が進まない理由:ゆでガエルに近い構造

恐らく、読者のなかには野球離れ問題の現状について、あまり危機的な印象を持っていない人も多いいらっしゃると思います。

というのも、日本野球のトップであるプロ野球は依然として高い人気を誇っているからです。近年は、毎年のように観客動員数が全体として増加しており、チケットが入手しづらくなっています。

www.itsportsbiz.work

よって、「野球離れ」という野球界全体に関わる問題について、プロ・アマチュア問わず本腰を入れて取り組もうという空気になりづらい現状があるのでしょう。

大リーグに挑戦している筒香選手のように野球離れ問題について高い危機感を持って発信している選手もいる一方、リーグや協会などが連携して抜本的な対策に至らないのもその表れかもしれません。

この状態が続くと、今後5年や10年はよいのかもしれませんが、もっと長いスパンで考えたときに、今の時点で野球離れを真正面から受け止めるべきだった、となりかねません。まさに「ゆでガエル」という似た構造ですね。

野球離れを「当事者」として受け止めるべき時期に来ている

野球離れがこれだけ叫ばれても、特に指導者側において抜本的な改革が進んでいないのは、恐らく「当事者」としてこの問題を受け止められていないのが大きいのではないでしょうか。

一方で、今の指導者の年齢層は自身が少年野球でプレーしていた際は「勝利至上主義」や「体罰」などが当たり前の時代でもあったので、その指導法を脱却できないのは仕方ない、という見方もあるかもしれません。

この「野球離れ」に対して当事者意識を持つ層が指導者に増えてきているのは間違いないので、プロ野球選手の発信も含め、ここからいい意味での変化が加速するといいですね。

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