体内に蓄えられる糖質の量は限られていることはご存じでしょうか。
およそ1500kcal~2500kcalしか体内に貯蔵できません。
これは30kmほど走るとすべて消費される程度のエネルギー量です。
つまり、マラソンやウルトラレースでは間違いなく体内の糖質が枯渇します。
なので、単純な補給だけではエネルギー不足に陥ります。
それでも走り続けられるランナーがいるのはなぜか?
それは使用しているエネルギーが糖質だけに限定されておらず、脂肪も微量ながらエネルギー源として使われているからです。
そのため脂肪を大量にエネルギーに変換できる体になれば、少ない補給でより長く走り続けることができるようになり、結果的に後半の粘りに繋がります。
今回はその脂肪を効率よくエネルギーに変換する仕組みと、そのエネルギー変換サイクルを鍛える方法について解説していきます。
マラソンで後半粘る方法を解説
そもそもファットアダプテーションとは?効果・意味は?
マラソンでは糖質と脂肪を効率よくエネルギーに変換する能力が必要になってきます。
しかし、人間の体はエネルギーに変換しやすい糖質を優先的に使用するため、脂肪をエネルギーに変換する能力が活性化していない場合が多いです。
そこで脂肪をエネルギーに変換する能力を高めるために行うのが「ファットアダプテーション」です。
日本国内でも「糖質制限」などが流行していると同時に、ファットアダプテーションという食事方法が徐々に知られてきています。
脂肪のエネルギー量は1g=9kcal
一般的には脂肪1gあたりのエネルギー量は9kcalと言われています。
これは脂肪の質によって変動しますが、大体これくらいと覚えておくとカロリー計算もしやすいでしょう。
糖質は1g=4kcalです。
タンパク質 | 4kcal/g |
糖質 | 4kcal/g |
脂肪 | 9kcal/g |
脂肪はグラム単価ではエネルギー効率がよい
先の「三大栄養素1gあたりのエネルギー量」の表を見てもらえばわかるとおり、脂肪は他の栄養素よりもグラムあたりのエネルギー量が多いです。
その点だけを見ると糖質を摂取するよりも脂肪を摂取すればウルトラレースなどに役立つのではと思ってしまいます。
確かに間違いないのですが、脂肪が分解されエネルギーに変換される過程が運動にとっては効率よくないのです。
つまり脂肪はエネルギー源として使われにくいのです。
脂肪をエネルギー源として消費する方法
脂肪がエネルギーに変換されて使われるときは不足したエネルギーを補うときです。
つまり、糖質などのエネルギーが不足したときに使われやすい傾向があります。
まずこの時点で脂肪がすぐにエネルギーとして使われることはないことがわかります。
もちろん、枯渇していない状態でも微量ながら使われています.
要は不足分を補うための変換効率の悪い予備エネルギーなのです。
この脂肪の変換効率を向上させることがマラソンでの後半の粘りにつながるのです。
脂肪をエネルギー源とすることは難しい
糖質などは素早くエネルギーに変換され,筋肉が動くエネルギーとなります。
対して脂肪はエネルギー変換が遅く、さらにはエネルギーとして使われるまでにも時間を要します。
ここでポイントなのがエネルギーに変換されるまでの時間です。
- 糖質はスピードが速いランニング時により多く消費される(糖質優位)
- 脂肪はスピードが遅いランニング時により多く消費される(脂肪優位)
こういったことが科学的に証明されています。
つまり、体内の糖質があるけど、脂肪を優位に使おうと思うと、それ相応の対策が必要なのです。
なので、ダイエット目的ならよりゆっくり走ることが推奨されているのです。
脂肪をエネルギー源として使う方法【ファットアダプテーション】
ファットアダプテーションのポイント4つ
ファットアダプテーションの4つのポイントはこの通りです。
これに気を付けて行いましょう。
- 食間を空ける
- 間食をしない
- MCTオイルを飲む
- 身体の変化を長期間見守る
脂肪を消費しやすい体を作る方法
脂肪を使いやすい体にするには体内の糖質が少ない状態、または血糖値が低い状態での脂肪摂取後のトレーニングが必要です。
これを続けることで、安静時も運動時も脂肪を効率的にエネルギーに変換できる脂肪代謝の回路が活性化します。
そして最大のポイントが、摂取する脂肪は『MCTオイル』(中鎖脂肪酸100%)でないと意味がないという点です。
これには中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸の構造にあるのですが、専門的なことになってしまいますので、とりあえず『中鎖脂肪酸(MCTオイル)が良い』ということだけ覚えておきましょう。
MCTオイルの飲み方
MCTオイルを継続的に摂取する方法として『朝コーヒーの中に入れて飲み,それから朝練練習に行く』が最も効果的です。
起床後は糖質も枯渇気味で、そこにMCTオイルを摂取すると、脂肪を使うしかなくなり、朝練習で脂肪が使われます。
そして脂肪をエネルギー源として使える体に発達していきます。
またカフェインは脂肪の燃焼を促進する効果もあるので、脂肪をエネルギー源として消費しやすくなる相乗効果があいります。
カフェインが飲めないならお茶や水でも問題ありません。
カフェインがランニングに及ぼす効果については下記記事で詳しく解説しています。
これは筆者も実施している方法ですし、その他世界や日本で活躍するマウンテンランナーも行っている飲み方です。
また朝練習をしない日でも飲むことをおすすめします。
日常の安静時にさえも脂肪が使われやすい体にできるからです。
脂肪を優先的に使える体になれば、太りにくくなるというメリットもあります。
朝練習しないなら,練習の直前に飲む
朝練習をしないのであれば,MCTオイルは練習の直前に飲みましょう。
あくまで脂肪をエネルギーに変換する回路の発達が目的ですので、”直前”という点が重要です。
まとめ
- MCTオイル(中鎖脂肪酸)が重要
- 朝練前にコーヒーとMCTオイルを摂るのが最強
- 朝練しないなら,練習の直前にMCTオイルを摂る
いかがだったでしょうか。
後半の粘りに悩んでいるならこの”ファットアダプテーション”は効果的です。
強くなるにはランニングを科学しましょう!