マラソンでタイムを狙うランナーは多くいると思います.
そこでポイントになってくるのが,「スピード練習」です.
ある程度のスピードを継続的に出し続けるマラソンにおいて,スピードがあればあるほどペースが楽に感じられます.
今回はそんなマラソンに特化したスピード練習について解説していきます.
スピード練習はマラソンに必要?
そもそもマラソンにスピード練習は必要なのでしょうか.
答えは「レベルと目標による」です.
完走が目標ならばスピード練習よりもジョギングを長めに行う方が目標達成に近づきます.
タイムを狙うのであれば,スピード練習は必須です.
それなりのスピードを維持するにはある程度のスピードで走れるようにしなければありません.
- 長めのジョギング
- ジョギング後に数本短距離ダッシュ
- 短距離~中距離のインターバル練習
- 長距離のインターバル練習
- 速いペースのジョギング
スピード練習とは?
そもそもスピード練習とはなんぞやという方向けに説明します.
スピード練習は3種類の目的に分類されます.
- 絶対スピードの向上(MAXスピードの向上)
- スピード持久力の向上
- スピードを楽に出す動きの獲得
このようにスピード練習といっても練習目的は分けられます.
ここから自分に必要なものを見極め,優先順位をつけながら練習をしていく必要があります.
スピード練習の計画と方法
それでは前述のスピード練習の目的から,練習計画と方法を解説していきます.
個人個人の能力によって練習計画は変わってきますので,以下の例と自分を照らし合わせてみてください.
全力ダッシュが遅い「サブ3を目指すランナー」の場合
サブ3を達成するためには,「4’15/km」ペースでフルマラソンを走り切らなければなりません.100m当たりでは25.5秒です.
この時,100mの全力ダッシュが25秒程度であれば,サブ3は不可能です.なので,優先する練習は「MAXスピードの向上」練習です.
短距離を速く走ることから始めなければありません.
持久力のない「サブ3を目指すランナー」の場合
全力ダッシュのスピードは速いけど,持久力がなくて10km程度しか走れない,というなら,優先的に行うのは「スピード持久力の向上」練習です.
長めのジョギングを「息が上がるけどしんどくない」程度のスピードでできるだけ長く走る練習をしましょう.
スピード練習は優先度順にこなしていくのが重要
これまでの説明の通り,スピード練習は順序立ててしていかないと効果が薄まります.
現在の自分のスピード能力を把握してから行っていきましょう.
ただ,スピード以前に「体力がない」という方はジョギングから始めましょう.
下記記事で解説しています.
ジョギング後の100mダッシュは必須
スピードは向上させることも重要ですが,維持することも忘れてはいけません.
特にジョギングだけを続けていると体がスピードの動きを忘れてしまいます.
なので,疲れていてもジョギング後のダッシュは行いましょう.
100mを3~5本行うのが理想的です.
スピード練習は心肺機能も鍛えられて一石二鳥
マラソンを行う上で重視されるのが,心肺機能です.
長めのジョギングなどで鍛えることも可能ですが,より心肺機能を追い込む練習はスピード練習なのです.
インターバルトレーニングなどがその例です.
ある程度のスピードを短い休憩で絶えず走り抜くので,心肺機能が鍛えられます.
また,きつい中でもスピードを出すため,楽に走れるフォームを身に着けることもできます.
レースペースで走ることでペース感覚が身につく
マラソンではペース配分が重要です.
最初飛ばしすぎると後半もちませんし,前半抑えすぎるとタイムの伸びにつながりません.
なので,走っているだけでおおよそのペースがわかる能力が必要です.
スピード練習でレースペースを意識して走るだけで体と動きがそのペースの感覚を覚えます.
なので,レースペースというのは常に意識しておきましょう.
具体的なマラソンのスピード練習例
それではこれまでのことを踏まえておすすめのマラソンスピード練習を紹介していきます.
MAXスピードを鍛えるショートインターバル
ショートインターバルはレスト(間の休憩)で大きく強度が変わってきます.
レストはあくまで参考程度でお願いします.
走っていれば自分の感覚で適切なレストが理解できてくると思います.
- 200m × 15 (ほぼ全力 レスト 120秒)
- 400m × 12(7~8割 レスト 90秒)
スピード持久力向上にミドルインターバル
ミドルインターバルもショートインターバルと同様にレストで強度が変わってきます.
レストを短くして心肺機能を追い込むか,レストを長くしてスピードの動きとペースの速さを重視するかは自身の考え方次第です.
ちなみにマラソンの強いアフリカ勢はスピードの動きを大事にするためレストは長いそうです.
- 1000m × 6~10本 (マラソンペース/km + 10~15秒 レスト 80秒)
- 2000m × 3~5本(マラソンペース/km + 15~20秒 レスト 180秒)
持久力向上にロングインターバル
ロングインターバルはマラソンペースを意識することが重要です.
速さよりも「マラソンペースを安定して」走り続けることが重要です.
細かいペースの上げ下げや誤差を意識して行いましょう.
- 5000m × 2~3本(マラソンペース/km レスト 120秒)
- 8000m × 2~3本(マラソンペース/km レスト 180秒)
スピード練習の頻度は?
スピード練習の頻度は週1~2回が理想的です.
そのほかの日は疲労抜きのジョグや長めのジョギングで練習を継続しましょう.
スピードを出しやすいフォーム
走るフォームは人によって異なり,楽に感じるフォームも違います.
なので,一概には言えませんが,スピードを出すポイントとしては以下の通りです.
- 骨盤を前傾にする
- 肘をできるだけ曲げる(45度以下)
- 胸を広げ呼吸をしやすくする
スピードを出すには”骨盤前傾”
スピードを出すポイントとして重要なのが,「骨盤前傾」です.
上の動画を見るとわかりますが,足が地面を後ろまで蹴っています.
よく上半身を前傾させとと言いますが,あれはあまりよくありません.
上半身が前傾していても骨盤が前傾していないと力は伝わりません.
なので,骨盤を立てる,前傾させることが大切です.
そうすることで,地面を蹴る足の力がしっかり後ろへ加わり前へ進むようになります.
腕はできるだけ曲げる
ケニア人のランナーのフォームを見ればわかると思いますが,共通して腕を曲げています.
これはこの方がロスが少ないからです.
振り子を考えるとき,垂れ下がる糸が短い方が動かすエネルギーが小さくなり,糸が長いと動かすエネルギーが大きくなります.
腕をできるだけ曲げるというのは,物理的な計算上,理にかなっているのです.
まとめ【スピード練習でマラソンのタイムを縮める】
いかがだったでしょうか.
マラソンにおいてタイムを目指すならスピード練習が大切だということがわかったと思います.
積極的にスピード練習を取り入れて目標に向けて頑張りましょう.