「役に立つ」と「意味がある」の話をスポーツビジネスで考える

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世の中はさまざまな商品やサービスがありますが、それらは「役に立つ」か「意味がある」に大別できるようです。この話のソースは山口周さんとのことですが、キンコン西野さんが分かりやすく話していました。

voicy.jp

書籍については以下

「役に立つ」ものと「意味がある」もの

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たとえば、「ハサミ」や「切る」という機能性があればそれでよくて、典型的な「役に立つ」ものですね。なるほど、と思ったのは、コンビニなどに売り場ではハサミは1種類しかなくて、最も「切れる」ハサミだけ置いておけばよい、ということです。「2番目に切れるハサミ」は売れないわけですね。

一方、タバコは「意味がある」ものといえます。コンビニなどでも多くの種類のタバコが並んでいますね。私は喫煙しないのですが、喫煙者に「なぜその銘柄なのか」を聞けば、「好きな先輩が吸っていた」などの返答になるでしょう。もちろん、風味なども関係はするでしょうが、「意味がある」ものというわけです。

「意味がある」ものは付加価値をつけやすい

マーケティングにおいて大切なのは、「付加価値」を顧客に提供することです。そのプロセス全てを「マーケティング」と言ったりしますが、「役に立つ」と「意味がある」の文脈でいえば、「意味がある」ものは付加価値をつけやすいといえます。逆に、「役に立つ」ものは、「機能」や「価格」で勝負するしかありません。

「意味」をずらすから付加価値をつけられる

付加価値をつけられるかどうかの違いはどこにあるのでしょうか。これも「役に立つ」もので考えてみます。先ほどの「ハサミ」で考えると、あくまで「切るもの」として売っている以上、「切れ味」という機能でしか差別化できません。「切れ味」での差別化は、追随が容易なため、結局は安くて切れ味の良いハサミが選ばれます。

コモディティという意味では、Tシャツも「役に立つ」ものかもしれません。しかし、「着心地」などでは差別化が困難です。しかし、これが好きなスポーツ選手のデザインがされたTシャツだったらどうでしょうか。スタジアムに足を運んだ際に好きな選手を応援するためのTシャツになり、考えようによっては「そのTシャツを購入することで、その選手の給料のもとになる」と捉えることも可能です。あるいは、そのチームのホームタウンで好きな選手が刻印されているTシャツを着ていれば、同じ選手が好きなファンから話かけられることもあるでしょう。つまり、「同じ趣向を持った人とつながるTシャツ」という価値もあるわけですね。であれば、機能的には普通のTシャツと変わらなくても、多少高い値段でもファンは購入するでしょう。また、「選手を球場で、あるいは経済的に応援するため」のグッズという意識があれば、同じ選手のTシャツやタオルでも、毎年デザインを変えれば購入してくれる可能性が高くなります

このように、ただのTシャツでも意味をずらしてみることで、大きな付加価値をつけ、単価や個数を増やすことが可能です。ファンであれば、好きなチームや選手を応援したい気持ちを持っていますが、たとえばグッズなどのプロモーションもその顕在あるいは潜在的な気持ちを刺激するようなコミュニケーションを設計すると、もっと売上が伸びるかもしれません。

エンタメとしてのスポーツは典型的な「意味がある」もの

そう考えると、プロスポーツなど「興行」としてのスポーツは、典型的な「意味がある」ものでしょう。言い換えると、ファンにとって「意味がある」存在であり続けることがスポーツビジネスの肝ということですね。

スポーツがファンにとって「意味がある」とはどういうことでしょうか?

・応援しがいがある

・チームや選手の必死な姿を見て、自分も「頑張ろう」と思える

・好きな選手がいる

・感動を与えてくれる

などなど、さまざまだと思います。この「意味がある」をより解像度を上げていくことで、試合の勝ち負け以外に、チームや選手としてどのような情報発信を行えばいいか、どのようなサービスを行えばいいか、のヒントになります。

「意味がある」ものは、逆にいえば「生活必需品」ではないと言えるかもしれません。しかし、「生活必需品」に溢れた現代だからこそ、「意味がある」ものの意義は高まっています。

皆さんにとって「意味がある」ものはなんでしょうか?

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