これまで、度々チームがビジネス的に高い収益を挙げるには、球場・スタジアムを自前で運営すること、つまり事業権を獲得することが肝要だと述べてきました。
今回は、その事業権を獲得するにはどのような方法があるかをプロ野球を例に整理してみたいと思います。
プロ野球球団で事業権を持っている球団
前提として、事業権を持つには、必ずしも球場・スタジアムを「所有」している必要はありません。もちろん保有していれば事業権も持っているわけですが、保有していなくても事業権を獲得することは可能です。
- 球団または親会社/関連会社が球団・スタジアムを「所有」:横浜、中日、阪神、オリックス、ソフトバンク
- 球団・スタジアムを「所有」していないが「事業権」を持っている:西武、楽天、ロッテ 、広島
- 球団・スタジアムを「所有」していないかつ「事業権」も持っていない:日本ハム・巨人・ヤクルト
つまり、日本ハム・巨人・ヤクルトの3球団を除いて何らかの形でホームグラウンドの「事業権」を持っており、スピード感を持ってよりファン視点でスタジアム事業を展開し、収益をあげることができます。
「所有」していないが「事業権」を持っている、とはどういうことか
球団あるいはその親会社/関連会社が「保有」しているから事業権も持っている、というのは分かりやすいと思います(親会社/関連会社のパターンは、たとえば甲子園は阪神タイガース親会社である阪急電鉄の所有物)。一方で、事業権のみを持っているケースはどのようなものがあるのでしょうか。
基本的には、いわゆる「指定管理者制度」の活用です。簡単にいうと、自治体の持ち物である球場・スタジアムの運営権(事業権)を年間使用料と引き換えに獲得するパターンです。日本ハム・巨人・ヤクルトのように「賃貸型」の、年間使用料がかかり、事業権も得られないパターンと自前パターンの中間のイメージですかね。
その指定管理者のパターンのなかでも、楽天はちょっと変わっており、元々の県営宮城球場の改修費用を球団が全負担する代わりに、年間使用料を5,000万に抑えています。球場ごとに使用料は異なるのですが、普通は年間10~20億ほどかかると言われているので、楽天は最初は負担が大きいものの、翌年以降は破格の値段で運営権を握れている、ということになります。
今後の動き
日本ハムは現在新球場建設に向け本格的に動いています。こちらも、賃貸型の限界を受けての動きと捉えられるかもしれません。巨人・ヤクルトの東京ドーム・神宮球場についてはなかなか難しい部分が多いでしょうが、どのような動きが出てくるか、他スポーツ含め注目です。