【チケッティング】「観客数制限」はリセールやダイナミックプライシングを広げるか?

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プロ野球・Jリーグともに、7月10日から観客の動員を上限付きで開始するようです。

www.nikkei.com

これが、スポーツビジネス界の「チケッティング」を変革する可能性があると見ています。

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需給バランスが確実に崩れる

昨年までは、特に平日は各球場の席数に余裕がある一方、土日や祝日は「満員御礼」になるケースが多かったように思います。しかし、今年に関してはガイドラインに基づいて5,000人しか入れない条件でスタートします。もちろん、コロナの影響で例年よりは現地に観に行きたい人は減るでしょうが、そもそもキャパが例年の1/5から1/10程度に大幅に減るため、チケットの需要と供給のバランスが確実に崩壊します。最近の例では、ディズニーが営業開始した際のチケット争奪戦がありましたが、ある意味似た減少かもしれません。

シーズンシート(年間席)の扱いをどうするか

さらにややこしいのが、プロ野球(に限らずですが)球場の25,000~50,000程度の席数の一定割合は「シーズンシート」の扱いになっています。

▽チケッティング戦略の基本

www.itsportsbiz.work

仮に、10%をシーズンシートが占めていたとしたら、2,500~5,000席がシーズンシートで、一般販売で入手できるチケットが「プレミア」化することになります。今年のように前例のない状況のなか、シーズンシートの扱いをどうするのか、球団によって対応が分かれると思いますが、この対応は注目したいところです。シーズンシートを購入してくれているコアなファンと、一般チケットを購入してくれる多くのファンのバランスをどう取るのか、落としどころに注目です。

需給アンバランスを解決しうるキーワード

このように、現地観戦できるチケットは非常に入手困難になり、チケッティング施策の最適解を模索しているチームが多いでしょう。この需給バランスを是正しうるふたつのキーワードがあります。コロナを逆手に取ると、例年ではなかなか踏み切れないような思い切った施策も打ちやすくなる側面もあるので、以下で紹介する2つのキーワードに関する取り組みに注目してみてほしいです。

キーワード①:リセール制度

プロ野球でも昨年部分的に始まったのが「リセール」の制度です。前売りなどでチケットを入手しても、急にスケジュールが合わなくなることもあるなかで、現地に足を運べなくなった際にチケットを他の人に正しい価格で売れる仕組みです。要は転売ではなく、公式に「リセール」できるのです。

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先ほど挙げた「シーズンシート」の権利を保持しつつ、毎日観戦に行ける人はほとんどいないので、状況に応じて観戦しない日のチケットを売り出せる「リセール」の制度を整えることで、シーズンシート保持者と、シーズンシートを持っていないファンのどちらにもメリットを生み出すことができる可能性があるのです。コロナを機に、リセール制度が広がればシーズンシート購入への障壁が低くなり、かつ行かない日はそのチケットを売却できるので、ある意味「資産」のような感覚でシーズンシートを購入するようになるかもしれません。

キーワード②:ダイナミックプライシング

コロナで無観客試合からスタートし、観客を入れられるようになっても人数制限があるため、球団として収益面ではピンチであることに変わりはありません。一方、偶発的に「プレミア」となった数少ないチケットに対する「需要」は非常に高くなっているでしょう。そこで、需給のバランスを是正しつつ、球団の収益を向上させるポテンシャルがあるのが「ダイナミックプライシング」です。以前解説した「フレックスプライシング」とはまた異なるチケッティング手法です。

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 簡単にいえば、需給のバランスに応じてチケットの価格がリアルタイムに変動する仕組みです。よって、さまざまな要因からビッグデータを解析し、需要が高い試合に関しては価格を上げ、需要が低そうな試合のチケットは通常より低い価格で販売します。このような仕組みは、「ファンの足元が見られている」ように感じる部分もあり、日本では導入に踏み切れていないのが実情のように感じます。しかし、コロナという危機的な状況のなかで、思い切って導入するかどうかに注目したいところです。

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<追記>

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