今回も、キンコン西野さんにスポーツビジネスが学べる観点、という切り口で書いていきたいと思います。テーマは「ダイレクト課金」です。
ダイレクト課金とは
ダイレクト課金とは、を説明するには「広告収入」と対比すると理解しやすいです。Youtubeが典型的な例ですが、Youtuberは動画コンテンツを無料で視聴者に楽しんでもらう一方、Youtubeに出稿している広告主からの間接的な広告料が主な収入になっています。よって、Youtubeというプラットフォームに依存しているリスクがあり、広告料を下げられてしまうと大打撃です。
一方、ダイレクト課金は文字通りファンや顧客から直接対価を受け取ります。オンラインサロンやファンクラブが分かりやすい例で、サロンオーナーが発信するコンテンツに対して直接課金する仕組みです。広告主への忖度やプラットフォームへの依存が基本的に不要で、自身が発信したい内容を遠慮せず届けることができ、結果としてそのコンテンツの方が評価されるケースも多いでしょう。
なぜダイレクト課金か?
西野さんがよくVoicyなどでも仰るのは、「お金」よりも「信用」が現代において、「ダイレクト課金」を押さえている人が勝つという趣旨のことです。どのようなロジックかといえば、CMに出演しているタレントを思い浮かべたときに、「お金を払えば宣伝をしてくれる人」になってしまいます。本当にその商品やサービスを良いと思っているタレントであればよいのですが、使用してもいないのに宣伝しているのは悪く言えば「嘘つき」として信用を落としてしまいます。しかし、タレントとしてもCMへの出演はお金を稼ぐうえで欠かせないため、断ち切れないのが実情ということです。スポンサーの顔色をうかがい、宣伝をする対価、つまり広告費を収入源としていると、「信用」を落としていく構図です。このようなタレントを西野さんは「認知タレント」と呼んでいますが、認知タレントによる宣伝の効果は、宣伝をするほど落ちていき、どこかで限界がきてしまいます。
オンラインサロンはダイレクト課金だから結果的にコンテンツも充実する
西野さんのオンラインサロンは「ダイレクト課金」の典型的な例です。ダイレクト課金とは、簡単にいえば何かサービスを提供し、お客さんから直接対価をいただくビジネスモデルです。ステークホルダーにスポンサーは存在せず、サービス提供者と顧客の2者しかいません。
このモデルのなにがよいかといえば、サービス提供者が他者に忖度することなくサービスを提供したり情報発信をしたりできるという点です。情報が溢れる現代において、消費者が求めているのはスポンサーが背景にいる情報やサービスではなく、「信用」できる情報やサービスです。ダイレクト課金では、余計な関係者が登場しないため、コンテンツの信用性が高く、それが結果として質の良いコンテンツにつながっています。実際、西野さんの毎朝のサロン記事は、月額1,000円とは思えないくらい充実しており、さまざまな立場のメンバーがいますが、それぞれに転用できる話が多いです。
関連書籍
スポーツビジネスの収益源はダイレクト課金or広告モデル?
さて、スポーツビジネスについて考えたときに、どちらの収益モデルでしょうか?結論からいえば、どちらも混ざっています。
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たとえば、チケット収入は、ファンからの「ダイレクト課金」でスポンサー収入は典型的な「広告モデル」です。ただ、そもそもスポーツビジネス自体が多面的なビジネスモデルのため、2つのモデルが入り混じるのは自然といえます。必ずしも「広告モデル」が悪いわけではなく、球団とスポンサー、さらにはファンにとってメリットのあるビジネスであれば、広告モデルも当然継続する価値はあります。
ただ、「信用」がキーワードになっていくなかで、ファンが深くつながっているのはあくまで「球団」であり、そのなかで「ダイレクト課金」はまだまだ伸びしろがあるような気がします。チケット収入やファンクラブといった「ダイレクト課金」のビジネスはすでに展開されていますが、西野さんのオンラインサロンでさまざまなビジネスやプロジェクトが進んでいく過程を見ていると、まだまだ「お金」に転換できていない球団の価値はあるように思えます。
※気になる方は、「西野亮廣エンタメ研究所」を覗いてみてください。
動画で学ぶ「ダイレクト課金」
「ダイレクト課金」を最も地で行く方である西野亮廣さんが「ダイレクト課金」について解説している動画(ラジオ)を参考までにリンクを貼っておきます。
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