プロ野球でチケットの公式・リセールが開始

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今週、こんなニュースが出ており世間を賑わせていましたね。

prtimes.jp

チケットリセールの「チケットストリート」がスポンサー契約をもとにプロ野球パ・リーグの日本ハム・千葉ロッテ・オリックスの「公認リセールパートナー」となり、この3球団のチケットのリセールを公式に行えるようになりました。

チケットの公式リセールサービスはファンにとって何がいいのか?

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このリセールによって、ファンはどのようなメリットがあるのでしょうか。

みなさんは、チケットを取ったは良いものの「急用が入っていけなくなったけどチケットどうしよう」とか「シーズンシート購入を考えているけど毎試合は行けないし。。」みたいな悩みを抱えたことはありませんか?

従来であれば、知人に譲るくらいしか選択肢がなかったものが公式リセールサービスによって行けなくなってもそのチケットを公に売ることができます。非合法に、しかも自身のネットワークの範囲でしか買い手を探せなかったのが、公式サービスとして、しかも広く買い手を探すことができます。

しかも、特筆すべき点として、「定価以上の金額で売ることができる」ようです。悪質な転売目的防止の対策は必須ですが、ある意味自身の保有するチケットが「資産」としてリアルタイムに価値が変わることもありうるわけですね。

たとえば、優勝や記録達成はどのタイミングで訪れるか分かりません。たまたま購入していたチケットの試合が優勝のかかった試合になりそうで、その前日にリセールサービスを覗くと定価の何倍にもなって取引されていた・・・なんてこともありうるわけですね。

一部球団が導入している「ダイナミックプライシング」はAIの分析に基づいて価値が決まりますが、リセールサービスだとリアルな人間の「需要」と「供給」に基づいて金額が変動する、と考えることもできます。

なので、個人的にはこのリセールサービスにおける売買の動向を覗くのが趣味になりそうです。

チケットをリセールできるとシーズンシート人気が高まる?

このように、公式リセールサービスがあることで恩恵を受けるのはシーズンシート保有者でしょう。シーズンシートを購入する動機は様々あると思いますが、さすがに毎試合観に行けると思って購入する人はほとんどいないでしょう。

それでもペイできると考えて購入するわけですが、そこにもスケジュール的な不確実性は存在するはずです。しかし、最悪リセールできるとなれば、購入への障壁は下がり、シーズンシート市場が活性化することも予想されます。

リセールに関連して、ダイナミックプライシングについても触れた記事もあるので、是非ご覧ください。

www.itsportsbiz.work

リーグ全体が同一システムでリセールできてこそ効果を発揮する

2020年7月には、セ・リーグの横浜DeNAにおいてもリセールを開始すると発表がありました。

www.baystars.co.jp

2019のパ・リーグでのリセール開始と比較しても、DeNA単発の取り組みとなっています。しかし、ファンとしてはホームゲームだけでなく、アウェーの試合も観戦に行く人も多く、やはり複数球団、ひいてはリーグ全体が同じシステムにおいてチケットを流通できた方がメリットは大きいでしょう。プロ野球の場合、JリーグやBリーグと異なりリーグよりは各球団が独自に新たなサービスなどの取り組みをするケースが多いですが、今回のリセールの件もこれが露呈した形となりました。

このあたりは、当記事でも「リーグガバナンス」のカテゴリにて解説しているので、覗いてみてください。

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本当にチケットはリセールで売れるのか?

ここまでメリットばかり書いたのでひとつ懸念を。割と根本的な点ですが、本当にリセールが成り立つのか。「本来のチャネルでは買いたくても買えない人がいる」つまり前売り段階で満席に近いくらい売れている状態が前提になるのではないでしょうか。

休日の試合はどの試合も満席に近い状態が多いですが、平日はそうとはいきません。少なくとも、定価以上で売ることは難しいでしょう(球団から購入すればいいだけなので)

チケットリセールは人気球団だからこそ機能する

スポーツビジネスのチケッティング領域において、昨今さまざまな取り組みがなされています。そのひとつとして今回の「リセール」があるわけですが、このリセールについては上述の通りそのチームのチケットが人気であることが前提にあります。事実、2020年にリリースがあった横浜DeNAはプロ野球でもチケットを入手するのが困難な球団です。だからこそ、二次流通が重要なわけで、人気のないチームのチケットでリセールができても、「後からでもどうせ買える」という心理が働き、さらに前売り券の販売数が下がりかねません。DeNAのように毎試合のようにチケットが完売する場合、「都合が悪くなってもリセールできる」という安心感のもと、チケットを購入できるのです。

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