日本のプロ野球も近年は各球団がスタジアムをより魅力的にするべく改修する動きが目立ちます。
この「ボールパーク」化のトレンドはメジャーリーグのスタジアムを見習ったものと思われますが、MLBのスタジアムは確かにどの球場も個性があって観客を楽しませてくれるスタジアムに思えます。
MLBはスタジアム建設や改修の費用は自治体負担の場合が多い
そんなスタジアムを建設するのには莫大な費用がかかるのですが、実はMLBの大半の球団は自分で資金を投入して建設したわけではないそうです。では、建設費用の出所はどこでしょうか?
それが、その球団がフランチャイズとしている地域の自治体です。なぜ、自治体はこの莫大な費用を負担するのでしょうか。当然、その費用を回収できる見込みがあるのが大前提だと思いますが、日本と比べるとある事情があるようです。
自治体がスタジアム費用を負担する理由
それが、「移転マーケット」の存在です。アメリカには広大な土地、そして一定規模以上の都市がある一方、日本では球団ビジネスが成立するような規模の都市は現在の12球団が本拠地を構える都市、北から順に札幌・仙台・埼玉・東京・千葉・横浜・名古屋・大阪・兵庫・広島・福岡の他にはほとんど存在せず、移転の可能性がほとんどありません。
この事実が何を示すかというと、アメリカでは「協力してくれなければ移転するぞ」というある意味脅しが効力を発揮する一方、日本ではそれが通用しません。現に、MLBでは移転が頻繁に発生していました。
球団と地方行政という枠組みでこの事象を捉えるなら、球団の交渉力が非常に強いということになります。
もちろん、行政側も単に球団に屈しているわけではありません。球団が地域にもたらす経済的恩恵を理解しているからこそ、「出ていかれては困る」わけです。新球団創設あるいは球団移転の際、候補先の自治体が必死になって誘致しています。
誘致活動の一環として、このような特設サイトを立ち上げている自治体もあります。
MLB球団を誘致するメリットをデータを使って示しているのは興味深いです。住民からしたら、自分たちが払った税金でスタジアムを建設するわけで、反対派ももちろんいるので必死に説得を試みています。
まとめ
- アメリカには日本と比較して「移転マーケット」が多い
- アメリカの地方自治体は、球団が地域にもたらす経済的恩恵を理解しているため協力的
今後も新球団の創設や球団の移転が行われると予想できますが、その際に地方自治体との関係性にも注目しながら動きを追ってみると面白いのではないでしょうか。